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メテオ・ストライクス!

いろんな分野で独り言を日々書きます。稼働終了したセガのクイズゲーム『Answer×Answer』を振り返る事もあります。

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電王戦は、やる価値無し 

今、電王戦ってやってますよね。将棋のプロ棋士とコンピューターソフトが対局するというヤツ。
まあ、勝った負けたでいろいろ意見が飛び交っているようなんですが、自分はこの件に関しては最初から結構冷めてます。興味が無いといった方がいいか。
要のところ、こういうルール限定の頭脳勝負で、人間がコンピューターに勝てる訳がないと思ってるからです。

結構前の話(90年代後半)ですが、『NHKスペシャル』で非常に面白いテーマのものを放送してました。
IBMが誇るスパコン【ディープブルー】と、チェス世界チャンピオンのロシア人がチェスでガチンコの番勝負をし、結果【ディープブルー】が勝ち越したという一件を、【ディープブルー】の思考を解析しながら振り返る…というもの。当時ですら徐々に将棋ソフトが強くなっているという時期だったので、興味深く拝見しました。
そこで【ディープブルー】の思考を知って、「あ、こりゃあいずれ将棋も囲碁もコンピューターには勝てなくなるな」と達観する事になったのです。

【ディープブルー】の思考方法は、局面の点数管理が主体です。
その時点での駒の配置を、100点満点でどの程度の点数になるのかを判断していきます。駒の種類、その状況、相手の駒の位置など…。ここで肝になるのが点数判断の判定基準で、このプログラムを洗練させていく事が【ディープブルー】の強さを決める事になります。
そして【ディープブルー】の真価は、1段階で20通りの手を思考し、その20通りの全局面で先述の点数判定をし、それを繰り返しながら8段階(8手先)までの全局面を点数判定する…というのを"一瞬"で完了出来る事です。
つまりですね………。
1手先(20通り)を点数判定したら、2手先ではその20の局面全てで…それぞれ20通りの局面(20×20=400通り)を点数判定。
3手先(400×20=8000通り)、4手先(8000×20=16万通り)、5手先(16万×20=320万通り)、6手先(320万×20=6400万通り)、7手先(6400万×20=12.8億通り)、8手先(12.8億×20=256億通り)。
つまり【ディープブルー】は256億通りの点数判断を"一瞬"で完了してしまうのです。これだけでも驚異的な能力なのですが…。

番勝負の何局目かは忘れましたが、【ディープブルー】が人間を戦慄させた一手がありました。
中盤の勝負所。【ディープブルー】が一手指し、世界チャンピオンの番になります。もちろんこの時、【ディープブルー】の8段階思考は既に完了してます。最善の一手は計算済みな訳です。
世界チャンピオンが熟考し、指した一手。これに対し【ディープブルー】は読み通りの最善手を指すはずでした。ところが、【ディープブルー】はエマージェンシー(緊急考慮時間)を発動し、先の段階の計算を始めたのです。この番勝負で初めての出来事。
何故【ディープブルー】はエマージェンシーに入ったのか。それは最善手を指した場合、最も良い点数判定(80点台半ば)だったのが、8手先まで進むと点数が下がっている(70点そこそこ)のが"引っかかった"のです。「コレハ、オカシイ」
そこで初のエマージェンシーを使って9手先、10手先まで時間をかけて判定していくと、どんどん局面点数判定値が落ちていく。最善手と思われていた一手が、最善手ではない!
そう、これは世界チャンピオンが仕掛けた渾身の罠。「必ず引っかかる」、世界チャンピオンはそう確信していました。しかし【ディープブルー】は何やら長考している…。
【ディープブルー】は最善手と判定していた一手を破棄し、10手先の段階(11兆以上…)の局面から最も点数判定値が高い局面を見つけだし、そこから逆に遡って、まず次に指すべき一手を再決定したのです。
そうして指された【ディープブルー】の一手。これを見た瞬間の世界チャンピオンの愕然とした様は忘れられません。世界チャンピオンの誇りにかけて繰り出した渾身の戦術、「必ずこう指してくる」という思惑が砕かれ、思考停止している状態でした。
その局は【ディープブルー】の勝利に終わりました。

正直ですねえ、こういう総当たり思考をされたら絶対に人間は勝てないんです。
確かにプロ棋士の読みは深いけれど、別に全ての局面を読み切ってる訳じゃない。どこを深く読むかは、その棋士の感覚、センスによるものです。そういうのをひっくるめて『強さ』と呼んでいる。
もちろん、体調、雰囲気、相手関係といったものも対局には左右してきます。
昔、森九段という人が中原名人に挑戦した際、何の前ぶれも無くスキンヘッドにしてきた事がありました。盤石の名人の動揺を誘えるんなら、髪の毛くらい剃り上げてやるわ…という心境だったのでしょう。
そういう人間くさい部分が、コンピューターには一切無い。読みは何億あろうと総当たり出来る。問題なのは局面判定だけ。まあなんと面白味の無い事でありましょう。
コンピューターの将棋ソフトを強くする為に頑張ってる人をけなそうとは思いませんが、自分たちが一つのゲームの楽しみを殺そうとしているという自覚はあるのかなあ。人間より強くして、で、どうなるの?

まあ、人間が勝てるとしたらですね。盤面を入れ替える、ひっくり返す、蹴りを入れる、コンセントを抜く…そんなもんじゃないですかね、冗談抜きで。
ルール限定のゲームは、オセロもチェスも、将棋も麻雀も、そしていずれ囲碁もコンピューターには勝てなくなる。それは既定の事実です。
電王戦でプロ棋士が負ける度に、口汚く罵っている輩が散見されますが、お前らは馬鹿かと。羽生さんや渡辺だろうとコンピューターには絶対に勝てないという段階が、もう目の前にあるという事態を避けて通るな。
だから自分は、最初からこのイベントには興味が無いのです。コンピューターに将棋の面白さが分かってたまるか。ソフトは強いだけで、プロ棋士と指す資格は無い木人形(デク)に過ぎません。プログラマー共も調子乗んな。
将棋は、人間の楽しむゲームなんだから。
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2013/04/10 Wed. 03:10 | trackback: 0 | comment: 5edit

コメント

勝った負けたで考えてる時点で終わってますね
将棋は強者が弱者を倒すところが面白いんじゃないですよ

次どの手を指すのか、今指した手の意味はなんなのか
せめぎ合いを解説者の説明と共に楽しむものです
さらにはそのドキドキを一緒に見ている人と共感しあえると言うのがとても大きい

コンピューターとプロ棋士では明らかに得意不得意、指し回しが違います
そんな中プロ棋士の手にソフトはどういう手がいいと思って指すのか
そう言ったところが楽しめないとはかわいそうです

コンピューター将棋は半世紀頑張ってようやくプロに追いつきました
それはマシンパワーではなく、アルゴリズムの改善によるものです
探索の平均分岐数は3を切り、もはや総当りとは言えません

プログラマ達が無数にあるアルゴリズムとパラメータを試しては捨てをひたすら繰り返し
必死に模索して、ようやくここまでたどりつけたのです

プログラマだけではありません
背後にいろんな人の協力があって、本当に様々な段階を経て、ようやく今当にこの企画が実現できたのです

どうか見てあげてください

八森 #- | URL | 2013/04/10 04:37 * edit *

>>八森様
コメント有難うございます。
そうですねえ…、80年代のPC雑誌(月刊マイコンだったか)で、まだつたなかった将棋ソフト5種類くらいでリーグ戦をやってた頃は、そういうのにも興味があったんですけどね。
森田さんとかが一所懸命プログラムを改良していた記憶があります。

人間に勝てるか否かという論点になってから、まあどうでも良くなった感じですね。
疲れも動揺も焦りも無いプログラムに対して、最終的に人間は必ず負ける。それは既定の事で、0と1の世界そのもの。
将棋の面白さは、欠陥だらけの人間が将棋のルールの中で至高の読み、指し回しをする事にあると思っているので、プログラムが勝っても感慨が無い。
棋界の太陽なんて呼ばれてる人が女流棋士の部屋に突撃し、会見を自宅庭で開く。対局中にみかん喰い合戦が始まる。思わず二歩を指す。
そういう、棋士という愉快なエリートの人間模様を楽しむのが、自分にとっての将棋の醍醐味です。
申し訳ないですけど、プログラムはプログラムで勝手にやってくれとしか言えないですね。

電王戦で人間側が連敗してる事で、棋士をなじる風潮が一部あるのが腹立たしくて、今回の記事を書いた次第です。かんに障ったのであれば申し訳ありません。

メテオ #- | URL | 2013/04/10 20:54 * edit *

横レス失礼します。
(メテオさんお邪魔します)
八森さんはAI将棋に相当お詳しい方とお見受けしました。以前からAIに興味があるので、もしまだここを見てらっしゃったら、わかる範囲で教えていただけませんか?

コンピュータは人と同じく「駒得」を見て対局を進めていくと思うのです。
(各々の駒の価値を数値化して)
その数値はプログラマが事前に決め打ちで入力しているのでしょうか。局面によって駒の数値(価値)を変えることはあるのでしょうか。
また、AIが経験を積む中で、個々の駒の価値を自己修正するようなソフトはあるのでしょうか?

そのような技術が実際に使われて成果があがっているなら、将棋に限らず様々な応用ができると思うので興味があります。
それと、コンピュータ将棋のアルゴリズムに関するお勧めサイトや書籍があったら教えてもらえませんか?

長々と失礼しました。

エトワ-ル☆ #- | URL | 2013/04/11 21:31 * edit *

やることに意義はありますよ

テクノ戦 #- | URL | 2015/12/03 07:32 * edit *

>>テクノ戦様
コメント有難うございます。
煽ったタイトルにしたのは反省すべきかもしれませんが、一部のプログラマーと観戦者に、あまりにも棋士への敬意が欠けていると思わざるを得ない向きがあったもんで、ちょっと頭に血が上ったタイトルと文になりました。
人間を越えていくんであれば、足蹴にしていくのはやめてほしい…と思ってますんで。
まあ、これからはプログラム同士の勝負になっていくでしょうけど。

メテオ #- | URL | 2015/12/03 15:41 * edit *

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