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メテオ・ストライクス!

いろんな分野で独り言を日々書きます。稼働終了したセガのクイズゲーム『Answer×Answer』を振り返る事もあります。

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善を極めた俳優、宇津井健 

好きなTVドラマはたくさんあります。中でも"ベスト3"と言われたら、挙げる作品は以前から決めてあります。
それは、『白い巨塔』(主演・田宮二郎)、『スケバン刑事2』(主演・南野陽子)、そして『赤い激流』(主演・宇津井健)です。

『赤い激流』は、赤いシリーズでおなじみの山口百恵主演作ではなく、宇津井健と水谷豊のダブル主演。そして、大映ドラマの真骨頂ともいうべき波乱と息詰まる展開のオンパレードで、赤いシリーズにおける最高視聴率(37%)を叩き出した傑作ドラマ。
音楽大学でピアノを教えている宇津井健(完全善)が松尾嘉代と再婚し、水谷豊(チョイ悪)が義理の息子となる。水谷豊は宇津井健が亡き実父のライバルだと知って反発していたが、ナイトクラブで水谷豊が弾きまくるピアノの腕前を見た宇津井健は「君に本格的なピアノを教えたい!」と食い下がり、火事の時に大事な腕を痛めてもなお水谷豊を守り、ついに水谷豊に心を開かせ、音楽大学に編入させる。
音楽大学に入っても水谷豊は、学長の娘である三択の女王・竹下景子に近づいたりして、常に揉め事を起こして破天荒さは変わらず。それでも宇津井健は懸命にピアノを教え、有名コンクールに水谷豊を出場させるべく骨を折る。
そこへ、死んだはずの松尾嘉代の前夫、水谷豊の実父、宇津井健のライバルだった緒形拳(完全悪)が現れる。やさぐれた緒形拳は宇津井健の名声を憎み、妻との幸せな生活も何もかも滅茶苦茶にするべくアグレッシブに行動し、皆を悩ませる。
コンクールの第1次審査も迫る中、緒形拳が"何者かに"殺害される。犯人が分からぬ中、水谷豊はコンクールに出場し第1次審査(課題曲・ショパンの英雄ポロネーズ)を突破する。だがコンクールを終えた水谷豊を待っていたのは、逮捕状を持った警察官だった。
果たして水谷豊は無事コンクール第2次審査に出る事が出来るのか。そして、緒形拳を殺したのは誰なのか…。

もうね、宇津井健の情熱がTVのこっち側にビンビン伝わってくるんですよ。ピアノを愛し、再婚した妻を愛し、義理の息子を愛する一途な情熱が。この役は宇津井健にしか出来ないし、他の俳優がやれるはずもない。
そして、緒形拳のもう…出てきただけで見ているこっちが引くくらいの凄い悪人オーラ。名優のなせる演技なんだけど、当時は『フランダースの犬』の金物屋と同じくらい恐い人にしか思えませんでした。宇津井健と向かいあうと、さながら大天使と堕天使。
この二人だけでも充分なのに、水谷豊の水谷豊にしか出来ない…軽薄と真剣の間を漂流する演技が加わり、小沢栄太郎(学長)の重厚な演技、前田吟や石立鉄男、中島久之あたりの手慣れた大映ドラマ演技、岸恵子の別世界演技なんかが混じり合って、上質の大映ドラマが出来上がります。
収監されている水谷豊が、留置場の床に鍵盤を描いて、第2次審査の課題曲(リストのラ・カンパネラ)を必死に練習する姿などは、現代のドラマに足りない要素ですよ。こういうのをドラマっていうんだ。

このドラマだけでなく、宇津井健という俳優は徹頭徹尾『潔白、正義、懸命』を体現していた人でした。
『スーパージャイアンツ』はもちろん、『ザ・ガードマン』もそう。
『赤い迷路』での、妻を殺した犯人を追ううち、娘(山口百恵)の出生の秘密を知って苦悩する精神科医もそう。
『赤い疑惑』での、自分を迎えに来た娘(山口百恵)が、大学内の爆発事故でコバルトを浴びて被曝し白血病になってしまい、手を尽くし苦悩する大学教授もそう。(書いてて改めて凄いストーリーだと思う)
『赤い運命』での、生後間もない娘が伊勢湾台風のドサクサで入れ違ってしまい、検事である自分の娘(秋野よう子)と、殺人前科持ちの三国連太郎の娘(山口百恵)が実は逆であると知って、実の娘を取り戻そうとする真面目な検事もそう。(この三国連太郎も恐かったなあ)
『赤い激突』での、愛する妻(ここでも松尾嘉代)が騒動に巻き込まれて頭を強打し、13時間に及ぶ緊急大手術を待つ間、ずっと病院の廊下で一心に踊っていたバレエ教師もそう。(これをやって様になるのは宇津井健しかいない)
『少女に何が起こったか』での、意味ありげに小泉今日子へ助言する謎の男(実は検事)もそう。(最終回はいろいろ必見)
『野々村病院物語』での、"医は仁術"を地でいく野々村院長もそう。(対局にいるのが津川雅彦だったねえ)
『さすらい刑事旅情編』での、仕事に厳格で、娘思いの高杉警部もそう。(相川恵理、好きです)
大河ドラマ『信長-KING OF ZIPANG-』での、奔放なうつけ者である信長(緒形直人)を本気で憂う、家老林通勝もそう。(ハマってたなあ)
映画だと、『パンダ物語』での冒頭、若い飼育係に対し凄い剣幕で「死んでいましたじゃないだろう! 私が殺しましただろう!」と説教する飼育責任者もそう。(八木さおり目当てで見に行ったのに、この場面が頭から離れない)
そして、『新幹線大爆破』での、常に最善を尽くし知恵を絞り、人命優先でTVを通じて犯人(高倉健)へ必死に呼びかけた倉持司令室長もそう。国外逃亡寸前の高倉健が、最後に一本電話を入れたのは宇津井健の何の企みも無い懸命な呼びかけだったこそでしょう。そして、乗客がまだ犠牲になるかもしれない新幹線停止に…やむなく同意した宇津井健が、成功はしたものの肩を落として「明日、辞表を持ってきます」と言ったくだりがもうね、宇津井健なんですよ。こんな役者は日本で一人しかいない。

確かに、役者として面白味のあるタイプではなかったです。悪役なんか絶対出来ない人です。
でもね、こんな絶対的善人というポジションの役者は実は得難いんですよ。しかも長年役を積み重ねないと説得力は出ないんです。
訃報に際し、ツイッターで検索をかけたら若い人のツイートが大変目立ちました。『ごくせん』『山田太郎ものがたり』『渡る世間は鬼ばかり』『相棒』など、近年の演技で好感を持っていた人が多かったようです。
そりゃあそうですよ、この方は比肩する者の無い善の俳優であり、そういう役を徹底して任されてきたのです。その延長にあった近年の演技が若い人に強い印象を残したのは当然です。

自分が物心ついた時から今まで、優しく、苦悩し、正義と信念を貫く役柄を、抜群の説得力で常に演じておられた宇津井健、享年82。また、不世出の俳優が逝ってしまわれました。
面白い作品をたくさん見せて頂いて、有難うございました。
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2014/03/15 Sat. 05:38 | trackback: 0 | comment: 2edit

コメント

おばんでございます。宇津井健と水谷豊の初共演作は、『赤い激流』から遡る事2年前の1975年10月、同じ大映テレビ制作の『夜明けの刑事』降板した石橋正次に代わって、新米・山本刑事役で第43話からレギュラー入りした水谷豊と、警視庁日の出署の署長役で、準レギュラーだった宇津井健との共演場面は第43話の僅か2シーン余りしかなかったものの、ある意味貴重な顔合わせとして強烈に印象に残っています(冒頭、刑事部屋で、署長が警察手帳と手錠を渡す-というシーンと、事件解決後、水谷豊の労を労うシーン)。水谷豊の若手刑事と元祖『相棒』坂上二郎の人情刑事の名コンビも忘れ難い。結局、『夜明け~』での共演はこの回のみで、宇津井健はこの回以降、出てこなくなり、水谷豊も約半年のみの出演で姿を消してしまいますが、その2年後、今度は『赤い激流』で、本格的に共演する事になるのですな。しかし、残念至極、宇津井さんに合掌。突然のコメント失礼いたしました。

ワンパク番外地 #- | URL | 2014/03/15 21:24 * edit *

>>ワンパク番外地様
コメント有難うございます。
『夜明けの刑事』は、自分の家のチャンネルの流れでは裏番組だったので、あまり回数は見てないんですよ。(ビデオの無い昔はそういうもんでしたね)
たまに見ると、坂上二郎さんのコメディアンらしからぬ渋い芝居が子供心に印象的でした。大映ドラマというより、刑事物の秀作だと思います。
宇津井健が出ていたというのは知ってましたが、水谷豊も出てたんですね。それは知りませんでした。今、考えると、当時の水谷豊の露出の増え方というのは凄いもんがありますねえ。水谷豊には『相棒』とは毛色の違う、エキセントリックな役をまたやってほしいものです。
貴重な情報、どうも有難うございました。

メテオ #- | URL | 2014/03/16 03:36 * edit *

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