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メテオ・ストライクス!

いろんな分野で独り言を日々書きます。稼働終了したセガのクイズゲーム『Answer×Answer』を振り返る事もあります。

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『時の行者』(横山光輝) 

横山光輝は大好きな漫画家です。
同時代の大物漫画家(石ノ森、藤子etc)と比べても遜色ない不思議な発想、読ませるテンポの良さ、淡々としてるのに燃える展開というのがいいですね。
画力に関して言えば、まあネタにもされる通り描き分けの幅が狭めではありますがw、絵の勢いより筋書きや事の背景が頭に残るのは利点です。例えばの話、島本和彦の絵で『三国志』描かれたら嫌でしょw。
多作でもあるので、全ての横山光輝作品を読んだ訳ではなく(まあ、大御所クラスの作品は量的に無理です)、今でも「あれ、読みたいなあ」と思ってる作品はいくつもあるのです。
そんな漫画の一つ、『時の行者』がこの度、愛蔵版全4巻にて復刊しましたので、歓喜しつつ月一冊ずつ買って読んでおりました。で、先日ようやく最終巻を読み終えたので感想を。
そもそも、この漫画は小学生の時にチョロッと読んでいたんです。だから、不思議な力を持った人が活躍する話みたいな記憶はあったんです…が。
今回初めて全巻通して読んだら、なんとも不思議な味わいのある、いかにも横山光輝な漫画でした。連載は1975-1979年の月刊少年マガジンだそうで、そりゃあ普段読まんわなあ。

不思議な力を持った"時の行者"と呼ばれる少年(青年?)が、織田信長の存命時を皮切りに、十年前後のサイクルで定期的に現れ、騒動に巻き込まれたり、騒動を起こしたりする。
どういう目的でやって来てるのか説明は無く、織田信長や豊臣秀吉に"結末を知っているかのような"アドバイスを送っている事から、未来から来てる人だと分かる程度。
不思議な力というのも、未来のテクノロジーで作られた防御バリヤーや光線銃、薬品などで、この少年自体はいたって普通。ただ、タイムトラベラーらしい無情感が常にあって、この辺は味がある。
まあ、現在だったら少年誌には載らん題材だよねw。

で、この"時の行者"が現れると、当然ながら騒ぎになり、その当時、その場所の有名人と関わりを持つようになる。
織田信長、豊臣秀吉、石田三成、後藤又兵衛、本田正純、駿河大納言忠長、松倉重治&天草四郎…etc(愛蔵版1巻から)。
10年前後の周期で現れ、これらの人物から狙われたり、諭したり、多少のアドバイスを送ったりするものの、歴史は激変する事も無い。"時の行者"も本来の目的を果たせず、未来へと帰っていく。基本的にこれの繰り返し。
これは、"時の行者"という神の視点から見る江戸期の人々の生き様というか、歴史を作る人々のドラマという趣で、この淡々とした感じは横山光輝じゃないと描けないと思います。他の漫画家だとどこかでギャグを入れるか、スペクタクルを入れるかするはず。
唯一、愛蔵版2-3巻で登場する火付盗賊改、中山勘解由とその息子のエピソードが、見せ場があって感情の起伏の激しい表現になってるかな。盗賊の現行犯の場面に踏み込んできた中山勘解由の大ゴマ。その息子が「父のやり方に賛同出来ない」と疑わしき男を解放したら、自分の想い人がその男に暴行され殺されてしまい、涙とともにその男を叩っ斬り、父の跡を継ぐ決心をするという話。
グッとくる話なんだけど、最後の"時の行者"の「時の流れとともに、人それぞれの生き様があるものだなあ」という締めに若干ガクッとしない事も無いw。
まあ少年漫画だから、変に重い締めをされてもアレだけども。

"時の行者"がタイムトラベラーとして過去に現れる理由が徐々に明かされるのは、愛蔵版3巻後半から。
彼が住んでる未来は、戦争の結果人類はほぼ死に絶え、それでも機械にコントロールされた自動兵器が過去の命令を忠実に守って戦争している状態。
そんな状況に嫌気が差した恋人のリサが、過去を変える事で未来を変えようと重度のタイムトラベラーと化し、それをやめさせようとリサを探して自分も折りを見て過去へ行っているという話。まあ、70年代のSFにありがちな設定ですね。過去を変えさせない『T.Pぼん』(藤子F不二雄)とは真逆の方向性。
しかし、この作品の魅力は、横山光輝という歴史漫画の巨匠が描く江戸期の人々のドラマなんですよね。そこに"時の行者"が関わる事でいろいろ物語が動くんだけど、歴史は最終的に何も変わらない。そこがいいんです。
自分は同じ本を何度読んでも飽きない子ですけど、この『時の行者』の再読性は素晴らしい。この4ヶ月の間、ふと手に取って読みふけった事が何度あるか。
歴史が好きな人も、あるいは歴史への興味づけとしても、単に横山光輝漫画としても優れた漫画だと思います。

ちなみに"時の行者"の恋人であるリサは、最後の2話に出てきて…そこからサッと物語自体が終了しましたw。やはりこの漫画の本質は未来人である二人ではなかったんでしょう。
私見ですけど、これアニメ化したら相当面白くなりそうな気がしますけどねえ。行者がバリヤー張るたびに実況が喜びそうw。
読後感はいいですね。自分達が全滅すると知らされながら、農民の為にその運命を受け入れる天草四郎。決起は失敗するも、以降むやみな大名の取り潰しは減ると聞いて納得する由比正雪。そういう描き方はさすが上手いですね。

横山光輝の持つ、歴史、忍者、SF、そして淡々という要素が詰まった佳作だと思います。
おっさんになってから読んだ訳ですが、充分面白かったですよ。これからもちょくちょく読もう。
愛蔵版全4巻、今なら入手しやすいと思うので、機会があれば是非御一読を。
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2014/08/01 Fri. 17:17 | trackback: 0 | comment: 0edit

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