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メテオ・ストライクス!

いろんな分野で独り言を日々書きます。稼働終了したセガのクイズゲーム『Answer×Answer』を振り返る事もあります。

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『黒博物館 ゴーストアンドレディ』(藤田和日郎) 

いきなり極論だけどさ。
漫画って、どんなにか苦心して必死で整合させて、面白いと言われつつどうにかこうにか終わらせた長編ストーリー漫画よりは、きれいに単巻か短巻数で終わる傑作漫画の方が絶対に心に残るよね。少なくとも自分はそう思ってる。
別に『ワンピース』や『ガラスの仮面』『はじめの一歩』『ブリーチ』をディスってる訳じゃあないけど、話の落としどころがさっぱり分からなくて、ずっと読んでる人も惰性になってて、それでも面白いと言わないと負けた気分になるもんで「面白いよ!」とムキになって言い続けてるんだけど、人に勧めても「そんな馬鹿長いの、本当に面白かったとしても今更1巻から読めっかよ」と無視されて、それでも「面白いんだよ!」と涙目で言い続けて自分を納得させてるような漫画の事ね。読者の方が結末を知らずに亡くなってしまう可能性が高い漫画。
近年は、『ジョジョ』とか『ドカベン』『カイジ』『刃牙』『バチバチ』みたいにシリーズを変えたフリをして同じ話を続けるという方法もあったりして、そっちの方がまだ良心的だけどね。
でもやっぱ、ストーリー漫画はビシッと終わった方が良い。長くなっても30巻前後くらいでね。じゃないと新たな読者は獲得出来ないよ。
かの『頭文字D』の…オチすら無くて走ってるだけという最終回の衝撃は、他の漫画家も他人事じゃないと思うのよね。

藤田和日郎という漫画家さんは、30巻を超える長編と、読み応えのある上手い短編を交互に描かれる方ですね。
『うしおととら』『からくりサーカス』『月光条例』みたいな長編の場合、中盤からちょっとダレる印象が個人的にありますが、ワクワクする面白さという点では日本でも有数の漫画家だと思います。
で、この方は長編の合間に読み切りや短編もよく描かれまして、これが非常に面白い。漫画への美学が炸裂しているスゴい人だと敬服しています。
昨年11月頃だったか、愛読しているモーニングに『黒博物館 ゴーストアンドレディ』の連載が始まった時は狂喜しました。
前作にあたる『黒博物館 スプリンガルド』は掛け値無しに面白くて、しかも全1巻。面白い話をキッチリと1冊にまとめたという、実にたまらん漫画。
しかも安易な続編ではなく、全く違う話なんだけど…黒博物館の収蔵品にまつわる話として学芸員さんが根掘り葉掘り聞いていくスタイル。なるほど、こいつは上手いな。
以来、この初夏に連載が終了するまで、毎週しっかり楽しませて頂きました。

時は19世紀。
ドルーリー・レーン王立劇場に住み着いた幽霊であり決闘士あるグレイの前に、一人の若い女が「私を取り殺してください」と頼みに来る。女の名は、フロレンス・ナイチンゲール。(以下フロウ)
彼女を苦しめている生霊を行きがかりで斬ったグレイは、自らが舞台に上がり彼女の生殺与奪を握る行為に興奮を覚え、彼女にいずれ殺すことを約束し、彼女の側につく。
彼女が"絶望"した瞬間に殺す腹積もりのグレイだったが、フロウが両親に対して堰を切ったように大反論を始めたのを見て、フロウは自分の物語の脇役ではないと察し、フロウの邪魔をする両親の生霊を斬る。
それをきっかけに力強く邁進し始めたフロウは、病院と医療の整備・改革に着手し、怒濤の成果を挙げていく。高まる名声など気にもしないフロウは、ついにクリミア戦争の中に身を投じ、腐りきった戦地医療の改革に着手する。彼女の"絶望"を待つグレイも同行。
しかし、戦地の司令官は彼女の存在を心底疎ましく思っていた。そしてその傍らには、シュヴァリエ・デオンという名の幽霊がいた。
デオンもまた、フロウを殺す為に動き出す…。

とにかくね、よく資料を読み込んで、上質のフィクションを作り上げてるんですよ。
フロレンス・ナイチンゲールという御方については、もう…よくこんな人生を歩けるもんだなあ…というくらいの(良い意味で)大変人なのは承知してるんですけど、その伝記上の聖人を実に魅力的に描いてある。造形的に美人ではないのに、読んでるとメチャメチャ可愛く感じますからね。
そのナイチンゲールとクリミア戦争の史実に、グレイの好きなシェークスピアの引用と、そして実在の女装決闘士シュヴァリエ・デオンが絡む。デオンとグレイの因縁も芝居じみててたまらん。
そしてまあ…これは皆思ってるだろうけど、基本プロットに『うしおととら』の関係性を上手く活かしてるんですよね。無論、全く同じではないんですけど、グレイの行動原理はとらに通じるものがある。「コイツは俺が殺すんだから、オマエには殺させない!」というヤツですね。
そういう要素が綺麗に合わさって、読み応えのある漫画となって、そして…なんと上下巻の2冊で終了するんです。この濃密感の素晴らしいこと。
最終回を読んだときに「ああ、ちゃんとした長さで、キッチリ感動までさせて終わってくれたよ!」と嬉しくてたまらなかったですね。上下巻なら人にも勧めやすいですから。

上下巻、発売と同時に購入して、ちょっと放置してたんですけど、今日は休日だったので封を切って一気に読んでしまいました。(講談社へのお願い、封はもう少し切りやすくしてw)
連載で全部読んでいたんですけど、やはり最終回はちょっと涙出てしまいました。
こういう読後感は、珠玉の短編じゃないと得られないもんです。
藤田和日郎の絶品の短編としてもおススメですが、ナイチンゲールという希代の大変人を知るうえでも素晴らしい出来だと思います。図書室にあるような伝記では面白くないからね。
「ナイチンゲールって、こういう人だったんだなあ」という入り口になれば、それが一番だと思います。漫画の力ですよ。

昨年の個人的漫画第1位だった『子供はわかってあげない』も全2巻でしたが、素晴らしい出来映えの短編は漫画の中でも最高の存在です。
雑誌編集の方には、その事を忘れないでいてほしいですね。
『黒博物館 ゴーストアンドレディ』上下巻、今年指折りのおススメ漫画であります。
あ、学芸員さんの可愛さも特筆モノねw。
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2015/08/19 Wed. 03:52 | trackback: 0 | comment: 0edit

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