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メテオ・ストライクス!

いろんな分野で独り言を日々書きます。稼働終了したセガのクイズゲーム『Answer×Answer』を振り返る事もあります。

『柔道部物語』(小林まこと) 

個人的な話ですが、自分の「人生の漫画ベストテン」から『生徒諸君!』を外すことにしたんですよ。理由は「教師編」以降の蛇足感です。あの…沖田が山で死んだ盛り上げは何だったのよ。
で、新たにベストテンに加える漫画を考えてまして、候補は2つに絞ってあります。
一つは『じゃりン子チエ』。泣く泣くベストテンには入れてなかったので、この機会に入れておこうか。
そしてもう一つは、『柔道部物語』。柔道漫画の金字塔、そして日本のスポーツ漫画史上トップクラスの快作です。

『柔道部物語』を知ったのは、コミックス3巻が出た頃ですね。
高校時代はスピリッツ派でヤングマガジンをほとんど読んでなかったので(『BE-BOP』も『AKIRA』も興味無かった)、全く存在を知りませんでした。
高校卒業して福岡に出て、知り合いの部屋で散々徹夜麻雀をするようになり、二抜け休憩で部屋の隅に転がっている時、その部屋にある漫画を読み倒してたんですが、そこにあったのが『柔道部物語』1巻2巻だったのです。
吹奏楽でトランペットを吹くのが好きな、成績優秀でひ弱な少年である三五十五が、入学した岬商業で調子のいい勧誘に騙されて柔道部に入部してしまい、実態に驚かされるというのが物語の始まり。
憤りと意地で部に留まったものの、先輩は変だわ、練習はキツいわ、合宿は地獄だわ、他校は恐ろしく強いわという救いの無さ。
この、初心者あるいは弱者から見た柔道部というか…体育会系部活動の理不尽さ加減が強烈にリアルで、かつ面白かったんですよ。これはスゴい漫画だ。
作者は小林まこと、『1、2の三四郎』の人じゃないか。道理で面白いはずだ。チェックしなきゃ!
以降、最新刊は必ず買い、ヤングマガジンを立ち読みするようになります。今も続くヤングマガジン立ち読みの原点です。

夏合宿で自分達の弱さを思い知った岬商業柔道部が、天才だがやる気の無い顧問である五十嵐先生に真剣に教えを請うようになり、やがて小さな大会で自分達が「勝てる」ようになっている事に気付く。
そして三五は柔道センスが急激に開花し、運も手伝って個人戦決勝まで進出し、インターハイ優勝の超高校級選手である樋口にまで勝ってしまう。
この辺のカタルシスは強烈で、荒唐無稽なのに謎の説得力があるんですよ。漫画ならではの夢といいますか。この漫画が実際に柔道をやっている人から絶大な支持を集めたのは、こういう事が実際に起こるかもしれない感が溢れていて、ワクワクさせられるからでしょうねえ。
それと、小林まこと独特のちょっとハズしてくるギャグや妙にリアルなリアクションが、胸のすく場面とうまく絡まっていて、読んでいて疲れないんですよ。『巨人の星』や『あしたのジョー』とは明らかに違う。あくまでも部活ですよ。
よく『スラムダンク』以降のスポーツ漫画の描写は変わったと言われますが、シリアスと力の抜き方という点では『柔道部物語』がスポーツ漫画に変革をもたらしたと思います。

その後、前半の目標でありライバルである樋口越え、岬商業全国出場もあっさり敗北、再度の全国で後半の目標となる西野登場、その西野に圧倒されて鷲尾世代卒業…と、中だるみしない展開。
ただ、ヤングマガジンはもともと隔週誌で、連載中に週刊へ移行したものの、『柔道部物語』の掲載は隔週でw、そのうえ休載がしばしば入るという感じだったんで、進行は遅かったですよ。まあ小林まことが遅筆というのは理解していたし、内容そのものには不満が無かったので腹は立たなかったですけど、イライラはしましたねw。

キャラクターが全員魅力的なのも特筆すべきこと。
強烈な背負いで爆発的に才能を開花させる主人公三五、その友人であり西野絡みの因縁をつくる秋山、ひ弱だけど辞めずに柔道を続けた岡、三五主将時代は常に三五を支えるいぶし銀の副将として活躍した内田、強くなる気は全く無く手抜きを続けて最後まで部を全うした名古屋…。
上級生なら口からでまかせで三五を柔道部に引っ張り込んだ小柴、実質的に柔道部を支えていた平尾、そして恵まれた体躯と子供のような性格で周囲をハラハラさせ通しだった鷲尾…。
そして、1年生にしてインターハイ個人優勝した超エリートだったが、白帯で勢いに乗る三五に不覚を取り、後に致命的な怪我で三五に夢を託す樋口。
さっぱりとした性格をした強豪で、三五に敗れた後は樋口と共に三五に稽古をつけた好漢、飛崎。
全国トップレベルの超強豪で礼儀正しい好青年だが、樋口、西野、三五に僅かに及ばない役回りであった千代崎。
両親の離婚、いじめられっ子という背景を背負って柔道を始め、とてつもない努力で常識外れの強さを身につけ、非公式試合で樋口に僅差で敗れるも再起不能に追い込み、秋山の腕を折り、挑んでくる千代崎や三五をはねのける圧倒的ラスボスとして作品に君臨した西野新二。
この西野の圧倒的な存在感が、漫画としての最終目標を明確にしたんですよ。西野の柔道スタイルは日本の高校生には無理でしょうが、現実に有り得ないレベルではなく、こういう選手がいたら驚異だろうなという線で留まっているのがいい。
三五と西野の2度目の対決となる金鷲旗決勝、二人に因縁がある樋口や千代崎が見守り、その他いろんな人物が会場やテレビで見守る中で、ついに三五が西野の域に達するカタルシスは物凄いですよ。自分は読む度に泣いてしまうのです。

これほどの作品ですが、一度だけ序盤がOVAになった程度で映像化された事はありません。実写映画化の話くらいあっても良さそうですけど、まあ無理なんだろうね。
26話でのアニメ化が理想的だろうけど、柔道の試合を上手く表現出来るかは微妙。流行りの絵柄でもないし、BL要素も皆無だからなあ。
結局、小林まことの人物描き分け力と試合描写力があったからこその名作なんだよね。
全11巻(愛蔵版全8巻)という長さで三五の三年間を描き切っているのも素晴らしいしね。だから一気に読めるんよ。程良く終わってこそ名作。
三五や鷲尾は小林まことの他作品にカメオ出演してますが、続編など無いスパッと終わるこの感覚こそ大事なんよ。


…と、ここまで書いて…本題的にちょっと心配事を書いとこうかな。
『イブニング』次号から、小林まことの新連載が始まります。

タイトルは、『女子柔道部物語』

正直、すごく楽しみであり、若干心配です。
この新連載、原作をアトランタ五輪金メダリストの恵本裕子が担当します。よって『柔道部物語』の続編という訳ではなさそうです。世界観は同一かもしれんけど。
三五とひろみの娘とか、秋山と平家くんの娘とかいうのでもないかと。まあ…あだち充の『MIX』みたいに岬商業の話という可能性はあるなあ。
この企画、「JJMプロジェクト」と銘打って昨年からチラホラ動いていたようなので、周到に準備はされていると思います。
小林まことの力量にも全く不安は無いんですが、『柔道部物語』は小林まこと自身の体験が色濃く反映されているからリアルなんであって、女子柔道については似て非なるモノなんではないかなあ…と思うのです。
五十嵐先生や史村さん、鬼の遠藤みたいな、実在の関係者をモデルにした面白い柔道関係者も、女子柔道界ではどうなんだろ。山口香はイケるだろうけど、○亮子はなあ…。
まあ、すごく不安がりながら楽しみにするとします。

『柔道部物語』は、史上最高クラスのスポーツ漫画です。読んでない人は損してますんで、これを機に読んでみてください。
人生漫画ベストテンには、どっちを入れようか…。
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2016/07/28 Thu. 01:00 | trackback: 0 | comment: 0edit

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