04 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 06

メテオ・ストライクス!

いろんな分野で独り言を日々書きます。稼働終了したセガのクイズゲーム『Answer×Answer』を振り返る事もあります。

さようなら、千代の富士 

自分は一度だけ、大相撲の本場所を見に行ったことがあります。
相撲好きとはいえ田舎の子ですから、そういう機会には恵まれなかったんですけど、福岡に出て紀伊國屋書店でパートしたりしてる頃、一念発起して本場所のチケットを手に入れました。
…3階の椅子席ですがw。

1990年(平成2年)九州場所。
この場所の番付、上位陣は4横綱2大関。東西の正横綱に北勝海と旭富士、張出横綱に千代の富士と大乃国。大関は霧島と小錦。
関脇に琴錦、小結に逆鉾、前頭3枚目に板井などがいて、そして…5枚目に若花田、7枚目に曙、12枚目に貴花田がジリジリ上がって来ていたという、次代の波に呑まれる直前の場所でした。
歴史に残る大横綱である千代の富士も、この年の初場所に優勝回数を30回の大台に乗せたものの、その後4場所は休場がちで、カモにしている小錦にも連敗するなど奮わない状態。何度目かの「限界説」が流れていたはずです。
しかし始まってみると千代の富士の全勝街道、8連覇するほど得意にしていた九州場所だったからか身体が切れています。「そういや千代の富士って、全休明けの場所に異様に強いんだったなあ…」と思い当たった次第。不死鳥か、この人は。
そして、千代の富士が初日から10連勝という状況で迎えた11日目。自分はいそいそと福岡国際センターに出かけました。

相撲は好きですが、さすがに序の口や序二段から見に行こうとは思いません。砂かぶりで見放題だけどさw。
まあ…NHKの中継が始まるのが午後3時だし、そのちょい前に着けば堪能出来るだろう…と考え、地下鉄と徒歩で現地へ。
「…ああ! 本場所だあ!」
ふれ太鼓、力士のぼり、人混み、活気、TVを通して見ていたあの光景です。生きてて良かった。
人混みは、どうやら場所入りする幕内力士を"入り待ち"している集団のようです。当時は若貴フィーバー前夜、観客にも活気があります。
自分もちょっと見物。本物の幕内力士が眼前を通るたびに「おおっ」と見惚れていたんですが、そこへ…どうやら藤島部屋の…あの兄弟が来たという一報。群衆歓喜w。
ほどなく、"お兄ちゃん"こと若花田が付け人従えて通ります。群衆はもう熱狂の渦で、声援と撮影の雨あられ。
自分は格別花田兄弟のファンでもないので、「大変だなあ…」と一歩引いて見てたんですが、そのおかげで…若花田が群衆の耳目を集めている間に、その裏手からこそこそ場所入りする貴花田が目に入ったんですねw。群衆が気付いた時には貴花田はまんまと場所入りしていたという。
なんという連携プレイ、お兄ちゃん囮役になったんだなあ。仲が良い兄弟だこと。
(これはあくまで1990年11月某日の感想です。現在の花田兄弟とは違う場合があります)

花田兄弟の場所入りを機に、自分も会場入り。
メイン通路には大きい売店があって、黒山の人だかりが出来ています。自分も怯まずそこへ突入し、番付と湯飲み(親父用)、霧島と小錦の手形色紙を買いました。霧島はファンで、小錦は貴重な人体標本としてw。今思えば千代の富士も買っておけば良かったねえ…。
しばらく周囲をうろついてみると、花道とか簡単に近寄れるんだな…と驚きました。それが相撲のいいとこなんだけどさ。すれ違う係員のような親方も、「い、今のは!」と振り返る方ばっかり。楽しいねえ、本場所。
さて、おもむろに階段を昇って3階の自分の席へ。
…眼下に広がるマス席とは違い、椅子席は寂しいもんです。見晴らしはいいけどね。当時は相撲のチケットは超プラチナでしたから、一般が気軽に買えるのなんて、一部のマス席と椅子席くらいでした。もちろん相撲茶屋のサービスなんてありませんよw。あれはブルジョワしか相手にしません。
席に座ると、…当然ながら土俵が遠い。力士の判別や状況は問題ありませんが、「ああ、オペラグラスとか持ってくるんだった」と気付いても後の祭り、アフターフェスティバル。
それと、TVやラジオのような"実況"が無いので、意外と淡々とした雰囲気に映る。この臨場感はもちろんいいんだけど、仕切りの間はミニラジオで実況聴けるような準備しとくべきだったな。
そういう反省をしつつ、貰った用紙に書いてある本日の取組とにらめっこしながら状況を確認。
今日の自分が為すべきは、霧島へ声援を送ること。そして一番重要な一番は千代の富士-小錦戦だね。

十両の取組、そして幕内力士土俵入り、続いて豪華な4横綱の土俵入り。
TVでいつも見惚れていた、あの千代の富士の土俵入りですよ。凛として力強くて綺麗だ。「よいしょおおお!」の掛け声も力が入ります。
中入り。実況も無いしまたブラブラ。なんというか楽しそうな空間だ。なるほど、マス席という仕組みになる訳だ。これは確かに「興行」だよね。
取組再開。幕内下位にも人気力士や期待の若手がいるので張り合いのある進行。花田兄弟は一際声援がデカい。
上位にはお気に入りの琴錦、安芸乃島。そして大関霧島。TVに音声拾われないかな…と思いながら「霧島あぁ!」と掛け声をかけます。(全く入っておりませんでしたw)
さて注目の一番、千代の富士-小錦。双方超人気者にして実力者、そして千代の富士は充実の全勝街道。見てる方も力入ります。おそらくTVでは、ここんとこ小錦が連勝してることを強調してんだろうなあ。
初めて見る生千代の富士は、漫画の切り抜きかというくらい雰囲気がある。完成された佇まいと調子が良い故の発散オーラが凄い。かたや小錦、何この巨体、全部肉かよ。あれがキビキビ動くんだから恐ろしい話だ。
時間一杯、大歓声、タオルで汗を拭う所作、塩、ポンポンと廻しを叩く音、手をついて…。
立ち合い、小錦の巨体をガッチリ受け止めた千代の富士、すかさず右上手。そしてその上手から、土俵中央であの小錦をブン投げた!「おおお! スゲエっ!」
千代の富士、土つかずの11連勝。派手な勝ち方に館内大喜び、馬鹿が投げた座布団が2枚くらい飛んでます。(あの当時はまだ節度があったけどね)
千代の富士ファンというわけでもない自分も、「ああ、こりゃあ今場所は千代の富士が優勝するなあ」と納得しながら帰宅路へ。他の3横綱の取組も見てるはずなんだけど、25年経った今はもう記憶が残ってないわw。
それくらい、千代の富士が勝った相撲が印象的だったんだろうなあ。

その場所は結局、千代の富士が12連勝し、他が崩れたこともあって最終的には13勝2敗で優勝となりました。31回目の優勝、そう、千代の富士現役時代最後の優勝だったのです。
翌場所から体調を崩した千代の富士は、初場所、春場所を不本意な形で終え、そして夏場所初日、貴花田との初顔合わせの一番となります…。

結果的に、自分の唯一の大相撲生観戦は、最後の充実した千代の富士を記憶に残すこととなりました。大変光栄なことです。
幕内下位と十両を行き来し、90kg台の超筋骨隆々体型だった千代の富士が、次第に幕内上位に定着し、体重も120kgまで増え、三役にやって来たと思ったらあっと言う間に大関を射止め(小結3場所、関脇2場所だけ)、その大関も3場所で通過し横綱へ。本当に強い力士は停滞せずに昇進するという見本のような存在でした。延々と綱取りに失敗し続ける大関など、横綱にする価値は無いのですよ。
あの北の湖との優勝決定戦に勝った時、自分は小学校高学年でした。中学、高校の6年間ずっと強い千代の富士を見続け、福岡に出てきたら53連勝ですよw。なんという伝説の力士。
この大横綱の最後の優勝場所を見に行けたのは、相撲好きとして誇らしいことです。36才の生ける伝説、最後の輝き。

…あれから25年、まさかこんなに早く千代の富士の訃報に接することになろうとはね。
言いたいことはたくさんあるんだけど、自分が唯一観戦した本場所の勇姿が一番の思い出です。
強かった、カッコ良かった、素晴らしい横綱だった。
さようなら、千代の富士。
関連記事
スポンサーサイト
2016/08/02 Tue. 11:32 | trackback: 0 | comment: 2edit

コメント

自分も一度だけ本場所を見に行った事がありますが、とてもじゃないけどメテオさんのように鮮明には覚えていません。メテオさんの記憶力は凄いですね。
私のその時のお目当ては千代の富士でした。取り組みも勝ってくれて嬉しかったです。
(負けたら損した気分になったと思う)
そしてそれ以上に千代の富士の土俵入りの美しさ。あれから強い横綱は何人も現れましたが、あんなに土俵入りの美しい横綱は他にいないと思います。

私も安い席だったので力士が遠かったですが、それだけに小錦のデカさがなおさら目立ちました。


エトワ-ル☆ #- | URL | 2016/08/03 20:52 * edit *

>>エトワール様
記憶力というよりは、事あるごとに反芻して思い出してた暇人だっただけですよ。ボ~っとした子だったんでw。

現在の40~50代にとっての千代の富士は、キングオブ力士みたいなもんでしたからね。
強いのはもちろん、体型、所作、大銀杏の形、精悍な顔つき、手慣れた受け答えなど、全てがキチッとまとまってました。
ウルフマンにまでなってしまう存在感は、不世出と言ってもいいでしょうね。
デカい訃報です、はい。

メテオ #- | URL | 2016/08/05 07:51 * edit *

コメントの投稿
Secret

トラックバック
トラックバックURL
→http://meteorsan.blog107.fc2.com/tb.php/2170-1aad970c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)