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メテオ・ストライクス!

いろんな分野で独り言を日々書きます。稼働終了したセガのクイズゲーム『Answer×Answer』を振り返る事もあります。

『ひるね姫』見てきました 

神山健治というアニメーション監督については、特に好きだ嫌いだということは無く、ただ…非常に理屈っぽい話を作る人だというイメージがあります。
代表作である『攻殻機動隊SAC』(スタンドアローンコンプレックス)からして、異様に理屈っぽい。素材が神山監督の理屈っぽさを上手く吸収して、評価される作品になった感があります。…原作者(士郎正宗)にはあまり好かれてないようですけど。
近年は『サイボーグ009』を今風にリファインした作品をやってましたが、石ノ森世界観と神山監督の理屈っぽさが噛み合ったのかは、見てないので何とも言えません(キャラクターデザインが気に入らない)。
師匠である押井守監督から理屈っぽさを色濃く受け継ぎ、『攻殻機動隊SAC』の他にも『精霊の守り人』『東のエデン』など実績を積んでいる。アニメ界においては名の知れた監督です。
その神山監督が、一般向け劇場用アニメ作品で勝負するのが『ひるね姫』。日テレのバックアップの元、原作の無いオリジナル作品で果たしてどこまで勝負出来るのか?

本当はJMAXシアター富山で『ゴーストインザシェル』(攻殻機動隊のハリウッドリメイク)を見る予定だったんですが、お疲れモードで予定時間に起きられず。
ファボーレ東宝のスケジュールを確認すると、『夜は短し歩けよ乙女』と『ひるね姫』がちょうどいい時間だったので、……もう1日1回上映まで減っている『ひるね姫』を見ておくことにしました。あんまり入ってないんだろうなあ…。
ファボーレ東宝到着、券売機で『ひるね姫』の座席表を見ると……自分だけみたいだなあ。これはお一人様覚悟か。前から3列目真ん中確保。
とりあえずパンフを買い、10分前開場と同時に入場。スクリーンにウザい情報番組やウサギのアニメが流れてるとこが、実に東宝直営。
予告編見てたら、もう一人入場してきました。貸し切り回避w。
さて、始まります。


(ここからネタバレ入ります)

この話、【夢】と【現実】が交互に、微妙にリンクしながら進んでいきます。
まず【夢】の中のハートランドという国の紹介。
機械作りに絶対の自信を持ち、全ての国民が24時間体制で機械作りに勤しんでいる。高速道路は常に大渋滞で遅刻が常態化しており、国民は常に新車への買い替えを強制される。
ハートランド王はそれで国民を幸せにする自信があるが、娘のエンシェンが魔法使いとして生まれたことを悩んでいる。エンシェンは魔法のタブレットを使い、機械が自我を持ち勝手に動くようにしてしまうため、塔に幽閉されている。
しかしエンシェンは塔を抜け出し、魔法のタブレットを奪回するため金庫に侵入し…。

ここで【現実】の女子高生、森川ココネが目を覚ます。今までの話はココネが見ていた夢。
ココネは起き出して、自分と父親の為に朝食を作る。あまり会話は無いが、ココネが学校に出かけると父親がLINEでいくらか会話してくる。娘のことは気にしているよう。
父親は自動車修理工を営んでおり、近所のじいさんのパンクを修理するが、しれっと自動運転機構を組み込んでしまっている。いいのかw

また【夢】のハートランド王国。
ハートランド王国にはよく"鬼"が襲ってくる。その"鬼"に対抗するため、エンジンヘッドと呼ばれる大型機械兵を作り上げ、迎撃する。
その騒動の中、ピーチというバイク乗りを見つけたエンシェンは、彼を手下にするため彼の前に駆けつける。

ここで【現実】のココネが学校の教室で目を覚まし…。
…という感じで、【夢】と【現実】が交互に展開し、その展開はリンクしているのです。だからストーリーを説明するのが難しい。
とりあえず【現実】のココネに関する重要事項を書き出すと…

◎2020年の岡山県に住む女子高生である
◎呑気でおっとり、よく寝る、ハートランド王国の夢を見る
◎父親(モモタロー)は自動車修理工で、ちょっとわけありな雰囲気
◎母親は亡くなっているようだ
◎1才上の幼なじみのモリオがいるが、彼氏でもない

で、この父親が警察に連れていかれるんですが、父親はある物に隠してココネに大事なタブレットを託す。
そのタブレットを狙っているのが、日本有数の自動車企業であるシジマ自動車の重役である渡辺という男で、【夢】ではハートランド王に仕える異端審問官という役回り。どうやらこの男が全ての元凶。
一度は奪われたタブレットだが、ココネは奪還に成功し、モリオと共に自動運転のサイドカーで逃避行を始める…。

そう、この映画のキーワードは「自動運転」なんです。
2020東京オリンピックの開会式に、シジマ自動車は自動運転車による選手入場を予定しているのだが、無事成功するかは未知数。重役達は危ぶむが、会長である志島一心は強行しようとしている。
志島一心には有能な娘がいたが、「自動運転」を推し進めようとして父親と対立し、シジマ自動車を辞して駆け落ちする。その相手が森川モモタロー。
娘は駆け落ち後に女の子を産むが、ほどなく事故によって他界する。
志島一心は、娘を失った喪失感と贖罪から、東京オリンピック開会式での「自動運転」に固執していく。
重役の渡辺は、会長の亡き娘が完成させていた自動運転アルゴリズムを入手し、開会式を成功させたうえで会長を追い込み、シジマ自動車を乗っ取る算段をし、内密に行動を起こす。
…この裏事情が分かれば、話はだいぶ分かりやすくなるんですが、正直なところストーリーの流れが親切ではないんですよね。人によってはかなり混乱すると思います。
あえて乱暴な言い方をすれば、【夢】を無くして【現実】だけにしちゃえばストーリーは簡潔になると思うんですよ。
ついでに、主人公を森川モモタローにすれば、かなりストレートな話になって、神山監督っぽくなるでしょう。
ただ、それでは『ひるね姫』ではないし、日テレその他の後押しで製作費が出て、この春休みに全国ロードショーするような映画にはならないのです。

【夢】と【現実】が交錯しまくるため、「おや?」と思うところもありました。
ココネが持ってた1万円札は、給油に消えたの?
モリオが「家に戻る」ように設定したサイドカーは、何故最後のあの場面であそこに現れたのか? あの場所を「家」だと認識したのであれば、なかなか意味深だと思います。
【夢】の中で落ちたエンシェンと、【現実】のココネが落ちかけてるのはリンクですが、【現実】のココネはどういう経緯で落ちかけているのかが分からない。タブレットを追って落ちたんだろうとは思いますが、ちょっと雑な気はしました。
エンドロールでココネのお母さん(つまりモモタローの嫁、志島一心の娘)の話が展開するんですが、この映像の一部分でもいいから本編に持ってきた方がよかったのではないか? 本編中の情報では、ココネのお母さんはどういう事故で亡くなったのかがハッキリしないので(自動運転のテストで亡くなったという解釈でいいはずだけど)。あの車がどんな事故を起こすのか、エンドロール中ビクビクしながら見てました。
ハートランド王国を襲う"鬼"とは何の暗喩なのか、分かるようで分からなかった。人の悪意?
【夢】の中のエンシェンは、ココネではないってことでいいんだよね?

映画作品としての話をすると、声優として起用されている俳優さんは全て違和感無く上手かった。
高畑充希という女優さんの知識は無かったんだけど、ココネの岡山弁でフニャフニャした喋り、実に上手かったし、主題歌の『デイドリームビリーバー』もなかなかのものでした。
渡辺役の古田新太、モモタロー役の江口洋介、志島一心役の高橋英樹(…桃太郎侍)など、文句のつけどころが無い。ジョイ役は釘宮理恵だw。
キャラクターデザインも見る前は微妙な印象だったけど、動いてると問題ない。陰影が無いのも別に悪いとは思わないし。
あくまで個人的な感想ですが、感動したかと言われるとそれは全く無いです。泣ける場面は皆無。
じゃあ駄作かと言われるとそんな事はない。野心作だとは思う。でも…もう少しどうにかなったんじゃないか、分かりやすくなったんじゃないかという気はします。
途中、「ハード屋がソフト屋に頭を下げるようになったら、物作りは終わりだ」という台詞が出てくるんですが、この葛藤をそのまま映画の主題にしても良かったかも。90年代にゲーム業界が通ったとこですよね。現実でも「自動運転」に真剣なのはグーグルだったりする訳ですし。
「自動運転」にしても、なぜココネの母親はそこへ邁進したのかをどこかで見せてほしかった。【夢】でもそこに利点がある描写が無かった。
動機づけが弱いからカタルシスも弱い、そこがもったいない気がしました。
小説を読んで補完した方がいいかな。

いろいろ書きましたが、オリジナルのアニメ作品としては頑張っていると思います。
オリジナルで、見る人を混乱させずに楽しませるというのは大変なんだなあ…と再認識しました。
万人向けとは言い難いですが、物を作る側の人にはかなり刺さると思いますよ。
映画館で見れるのもあと少しだと思いますので、興味のある方はぜひ。
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2017/04/09 Sun. 03:03 | trackback: 0 | comment: 0edit

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