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メテオ・ストライクス!

いろんな分野で独り言を日々書きます。稼働終了したセガのクイズゲーム『Answer×Answer』を振り返る事もあります。

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作詞で世界を操った男、阿久悠 

アニメ『まりあほりっく・あらいぶ』のED曲が、あの『どうにも止まらない』でしてね。山本リンダのオリジナルではなく、声優さんのカバーですが。
前作は『君に胸キュン』(YMO)のカバーだったので、てっきり今回もその辺りの80年代を狙ってくるのかと思いきや、70年代のお色気歌謡曲とは意表を突かれました。
スタッフが何故にこの曲を使ってきたかは謎ですが、自分はしみじみと歌詞を堪能しております。そして戦慄するのです、阿久悠という巨大な才能に。

♪噂を信じちゃいけないよ、私の心はウブなのさ
♪いつでも楽しい夢を見て、生きているのが好きなのさ

あの、いかつい顔の気難しいおっさんが、夜、布団に転がって懸命に頭を捻りながら、この歌詞を原稿用紙に書いていく。

♪ああ蝶になる、ああ花になる、恋した夜は貴方次第なの
♪ああ今夜だけ、ああ今夜だけ、もうどうにも止まらない

阿久悠の作詞の凄みは、歌う歌手に合わせた歌詞…を通り越して、歌詞で歌手のイメージを作り上げてしまう点にあります。
沢田研二には気障で美学があるけど少し情けない男を。西城秀樹には熱く燃える愛を貫く男を。ピンクレディーには大人から子供まで楽しめる巨大遊園地の要素を。そして山本リンダには、恋多い女のむきだしの本性を。岩崎宏美の成長に合わせて、少しずつ大人になっていく少女の世界を演出していったのも、リアルタイムでは分かってませんでしたが、ベストCDで振り返ってみると明確な意図を感じて感嘆しました。河島英五の『時代おくれ』なんて、他人が書いたと思えないくらい河島英五そのものじゃないですか。

『どうにも止まらない』を改めて聴きながら、なんでこんな歌詞が書けるんだろうねえ…という絶賛と、このおっさんは一種の中二病なんだろうなあという推測と、そして…もうこんな絶品な歌詞を書く職業作詞家は出ないんだろねえ…という落胆が複雑に入り混じった思いでいます。
以前、自分で作詞する若い女の子がデビューするとかで、こんなキャッチコピーがついてました。”本当の事しか歌わない”。それを見た瞬間、「ああ、それじゃあ駄目なんだよな」と寂しい気持ちになったのを今でも覚えています。

阿久悠の作詞には本当の事なんか一つもありません。
着てはもらえぬセーターを寒さこらえて編む人は実在しないし、北へ向かう人の群れは誰も無口で、海鳴りだけを聴いているなんて事もありません。街は今眠りの中なのに、あの鐘を鳴らしたら迷惑でしょうし、嫁に来ないか僕のところへ桜色した君が欲しいよなんて求婚は成立しません。地球の男に飽きた女性も今のところいないのです。

阿久悠の作詞には本当の事なんか一つも無いのに、…それなのに”真実”が溢れて止まらないのですよ。
青春時代が夢なんて後からほのぼの想うものなんですよ。一日二杯の酒を飲む時代遅れの男になりたいんですよ。あなたはすっかり疲れてしまい、生きてる事さえ嫌だと泣くんですよ。あなたお願いよ席をたたないで息がかかるほどそばにいてほしいんですよ。
どれもこれも、人として生きていたら必ず思いあたる事ばかりじゃないですか。それを端的に歌詞にして世界を作れるというのは、恐ろしい才能です。

ブログみたいな歌詞が氾濫する昨今、もうこんな超絶作詞家が誕生する事も無いでしょう。畑亜紀は言葉の魔術師系で、方向性が違いますしね。
『まりあほりっく・あらいぶ』のEDは、作品のアクの強い世界に負けない曲を用意した、という事なのかもしれませんね。このEDはそういう感じで楽しんでみてください。
これをきっかけに、阿久悠にハマッてくれる若人がいるといいなあ。
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2011/05/10 Tue. 03:41 | trackback: 0 | comment: 0edit

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