05 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.» 07

メテオ・ストライクス!

いろんな分野で独り言を日々書きます。稼働終了したセガのクイズゲーム『Answer×Answer』を振り返る事もあります。

『ひるね姫』見てきました 

神山健治というアニメーション監督については、特に好きだ嫌いだということは無く、ただ…非常に理屈っぽい話を作る人だというイメージがあります。
代表作である『攻殻機動隊SAC』(スタンドアローンコンプレックス)からして、異様に理屈っぽい。素材が神山監督の理屈っぽさを上手く吸収して、評価される作品になった感があります。…原作者(士郎正宗)にはあまり好かれてないようですけど。
近年は『サイボーグ009』を今風にリファインした作品をやってましたが、石ノ森世界観と神山監督の理屈っぽさが噛み合ったのかは、見てないので何とも言えません(キャラクターデザインが気に入らない)。
師匠である押井守監督から理屈っぽさを色濃く受け継ぎ、『攻殻機動隊SAC』の他にも『精霊の守り人』『東のエデン』など実績を積んでいる。アニメ界においては名の知れた監督です。
その神山監督が、一般向け劇場用アニメ作品で勝負するのが『ひるね姫』。日テレのバックアップの元、原作の無いオリジナル作品で果たしてどこまで勝負出来るのか?

本当はJMAXシアター富山で『ゴーストインザシェル』(攻殻機動隊のハリウッドリメイク)を見る予定だったんですが、お疲れモードで予定時間に起きられず。
ファボーレ東宝のスケジュールを確認すると、『夜は短し歩けよ乙女』と『ひるね姫』がちょうどいい時間だったので、……もう1日1回上映まで減っている『ひるね姫』を見ておくことにしました。あんまり入ってないんだろうなあ…。
ファボーレ東宝到着、券売機で『ひるね姫』の座席表を見ると……自分だけみたいだなあ。これはお一人様覚悟か。前から3列目真ん中確保。
とりあえずパンフを買い、10分前開場と同時に入場。スクリーンにウザい情報番組やウサギのアニメが流れてるとこが、実に東宝直営。
予告編見てたら、もう一人入場してきました。貸し切り回避w。
さて、始まります。


(ここからネタバレ入ります)

この話、【夢】と【現実】が交互に、微妙にリンクしながら進んでいきます。
まず【夢】の中のハートランドという国の紹介。
機械作りに絶対の自信を持ち、全ての国民が24時間体制で機械作りに勤しんでいる。高速道路は常に大渋滞で遅刻が常態化しており、国民は常に新車への買い替えを強制される。
ハートランド王はそれで国民を幸せにする自信があるが、娘のエンシェンが魔法使いとして生まれたことを悩んでいる。エンシェンは魔法のタブレットを使い、機械が自我を持ち勝手に動くようにしてしまうため、塔に幽閉されている。
しかしエンシェンは塔を抜け出し、魔法のタブレットを奪回するため金庫に侵入し…。

ここで【現実】の女子高生、森川ココネが目を覚ます。今までの話はココネが見ていた夢。
ココネは起き出して、自分と父親の為に朝食を作る。あまり会話は無いが、ココネが学校に出かけると父親がLINEでいくらか会話してくる。娘のことは気にしているよう。
父親は自動車修理工を営んでおり、近所のじいさんのパンクを修理するが、しれっと自動運転機構を組み込んでしまっている。いいのかw

また【夢】のハートランド王国。
ハートランド王国にはよく"鬼"が襲ってくる。その"鬼"に対抗するため、エンジンヘッドと呼ばれる大型機械兵を作り上げ、迎撃する。
その騒動の中、ピーチというバイク乗りを見つけたエンシェンは、彼を手下にするため彼の前に駆けつける。

ここで【現実】のココネが学校の教室で目を覚まし…。
…という感じで、【夢】と【現実】が交互に展開し、その展開はリンクしているのです。だからストーリーを説明するのが難しい。
とりあえず【現実】のココネに関する重要事項を書き出すと…

◎2020年の岡山県に住む女子高生である
◎呑気でおっとり、よく寝る、ハートランド王国の夢を見る
◎父親(モモタロー)は自動車修理工で、ちょっとわけありな雰囲気
◎母親は亡くなっているようだ
◎1才上の幼なじみのモリオがいるが、彼氏でもない

で、この父親が警察に連れていかれるんですが、父親はある物に隠してココネに大事なタブレットを託す。
そのタブレットを狙っているのが、日本有数の自動車企業であるシジマ自動車の重役である渡辺という男で、【夢】ではハートランド王に仕える異端審問官という役回り。どうやらこの男が全ての元凶。
一度は奪われたタブレットだが、ココネは奪還に成功し、モリオと共に自動運転のサイドカーで逃避行を始める…。

そう、この映画のキーワードは「自動運転」なんです。
2020東京オリンピックの開会式に、シジマ自動車は自動運転車による選手入場を予定しているのだが、無事成功するかは未知数。重役達は危ぶむが、会長である志島一心は強行しようとしている。
志島一心には有能な娘がいたが、「自動運転」を推し進めようとして父親と対立し、シジマ自動車を辞して駆け落ちする。その相手が森川モモタロー。
娘は駆け落ち後に女の子を産むが、ほどなく事故によって他界する。
志島一心は、娘を失った喪失感と贖罪から、東京オリンピック開会式での「自動運転」に固執していく。
重役の渡辺は、会長の亡き娘が完成させていた自動運転アルゴリズムを入手し、開会式を成功させたうえで会長を追い込み、シジマ自動車を乗っ取る算段をし、内密に行動を起こす。
…この裏事情が分かれば、話はだいぶ分かりやすくなるんですが、正直なところストーリーの流れが親切ではないんですよね。人によってはかなり混乱すると思います。
あえて乱暴な言い方をすれば、【夢】を無くして【現実】だけにしちゃえばストーリーは簡潔になると思うんですよ。
ついでに、主人公を森川モモタローにすれば、かなりストレートな話になって、神山監督っぽくなるでしょう。
ただ、それでは『ひるね姫』ではないし、日テレその他の後押しで製作費が出て、この春休みに全国ロードショーするような映画にはならないのです。

【夢】と【現実】が交錯しまくるため、「おや?」と思うところもありました。
ココネが持ってた1万円札は、給油に消えたの?
モリオが「家に戻る」ように設定したサイドカーは、何故最後のあの場面であそこに現れたのか? あの場所を「家」だと認識したのであれば、なかなか意味深だと思います。
【夢】の中で落ちたエンシェンと、【現実】のココネが落ちかけてるのはリンクですが、【現実】のココネはどういう経緯で落ちかけているのかが分からない。タブレットを追って落ちたんだろうとは思いますが、ちょっと雑な気はしました。
エンドロールでココネのお母さん(つまりモモタローの嫁、志島一心の娘)の話が展開するんですが、この映像の一部分でもいいから本編に持ってきた方がよかったのではないか? 本編中の情報では、ココネのお母さんはどういう事故で亡くなったのかがハッキリしないので(自動運転のテストで亡くなったという解釈でいいはずだけど)。あの車がどんな事故を起こすのか、エンドロール中ビクビクしながら見てました。
ハートランド王国を襲う"鬼"とは何の暗喩なのか、分かるようで分からなかった。人の悪意?
【夢】の中のエンシェンは、ココネではないってことでいいんだよね?

映画作品としての話をすると、声優として起用されている俳優さんは全て違和感無く上手かった。
高畑充希という女優さんの知識は無かったんだけど、ココネの岡山弁でフニャフニャした喋り、実に上手かったし、主題歌の『デイドリームビリーバー』もなかなかのものでした。
渡辺役の古田新太、モモタロー役の江口洋介、志島一心役の高橋英樹(…桃太郎侍)など、文句のつけどころが無い。ジョイ役は釘宮理恵だw。
キャラクターデザインも見る前は微妙な印象だったけど、動いてると問題ない。陰影が無いのも別に悪いとは思わないし。
あくまで個人的な感想ですが、感動したかと言われるとそれは全く無いです。泣ける場面は皆無。
じゃあ駄作かと言われるとそんな事はない。野心作だとは思う。でも…もう少しどうにかなったんじゃないか、分かりやすくなったんじゃないかという気はします。
途中、「ハード屋がソフト屋に頭を下げるようになったら、物作りは終わりだ」という台詞が出てくるんですが、この葛藤をそのまま映画の主題にしても良かったかも。90年代にゲーム業界が通ったとこですよね。現実でも「自動運転」に真剣なのはグーグルだったりする訳ですし。
「自動運転」にしても、なぜココネの母親はそこへ邁進したのかをどこかで見せてほしかった。【夢】でもそこに利点がある描写が無かった。
動機づけが弱いからカタルシスも弱い、そこがもったいない気がしました。
小説を読んで補完した方がいいかな。

いろいろ書きましたが、オリジナルのアニメ作品としては頑張っていると思います。
オリジナルで、見る人を混乱させずに楽しませるというのは大変なんだなあ…と再認識しました。
万人向けとは言い難いですが、物を作る側の人にはかなり刺さると思いますよ。
映画館で見れるのもあと少しだと思いますので、興味のある方はぜひ。
2017/04/09 Sun. 03:03 | trackback: 0 | comment: 0edit

前後編映画にはリスクがある 

映画がウケるとシリーズ化するというのは、昔からよくある話です。
ナンバリングが付いていくタイプでは『ロッキー』や『ランボー』、『ターミネーター』『エイリアン』『ミッションインポッシブル』などが有名ですね。1作目の高評価をうけて2作目を作ったら、これも客が入ってシリーズ化していく。『インディジョーンズ』もそうか。
日本だとナンバリングはしないものの、『男はつらいよ』『駅前シリーズ』、植木等の『日本一の○○男』など喜劇に多いんですが、近年は『ビーバップハイスクール』と『あぶない刑事』、『踊る大捜査線』『海猿』が成功したくらいですかね。
割と多いのが、『バックトゥザフューチャー』や『マトリックス』『スターウォーズ』のように、1作目のヒットをうけて3部作とかサーガ化するケースですね。2作目と3作目を同時に撮影しちゃうのが多いようで。『ロードオブザリング』は最初から3部作ですけど。
変則的なのは『スーパーマン』で、あれは1作目と2作目が同時撮影されています。1作目のエンドロールの最後に「NEXT YEAR SUPERMAN Ⅱ」と出るのは有名な話で、2作目の三悪は1作目にちゃんと登場しています。

さて、近年の邦画では最初から「前後編」を謳った映画がよく作られています。
『デスノート』『進撃の巨人』『64』『ちはやふる』など、ジャンルも方向性もいろいろなんですが、とにかく前後編にしたがる。
これにはもちろんメリットがあって、まず重厚な原作をあまり端折らずにじっくり映画化出来ます。原作ファンの不満も抑えられるでしょう。
加えて、単純に2本撮るより予算が少なくて済みます。俳優のスケジュールも押さえやすい。
それでいて、後編は前編の80%くらいの興収が計算出来るのですから、映画業界としては利益をあげやすい。
10年くらい前に人気漫画を映画化した『NANA』という作品があって、非常に好評で40億円の興収をあげ、意気揚々と続編の製作を発表した…ものの、主演の宮崎あおいを始め幾人かのキャストのスケジュールを押さえられずキャスト交代となり、結果『NANA2』の興収は12.5億円となってしまった。この事例が、最初から前後編で映画を撮る流れの発端になったのでしょう。
しかし、必ずしも良いことばかりだとは思わないんですよね。

前後編ということは、前編を見てない人が後編を見るはずがない。だから後編は前編の80%くらいになるし、『進撃の巨人』みたいに前編の評判が悪いと後編では半減してしまう。
これは意外と怖いことだと思うんですよね。客が入る見込みの無い映画を上映しなきゃいけない。空席だらけ。
今年の春、2つの前後編映画が封切られたんです。『3月のライオン』『サクラダリセット』ですね。
自分は『3月のライオン』という漫画については、「漫画ジャーナリストの間では評価される作品」というイメージを持ってまして、将棋漫画好きにも関わらずかなり苦手な作品です。正直、面白いと思ったことはありません。
そういう感じなもんで、映画館で予告編を見ても全く食指が動かず、「ああ今年はこれが東宝の前後編映画なのか」としか思ってませんでした。ほんわかな雰囲気を醸し出す漫画と違って、えらく殺伐とした内容っぽいなあ…という感想。
ま、原作が好きな人は見るんだろうよ…と思っていたら、これが春休み前から公開してるのに、4月2日時点の興収が5.7億円…。4月半ばからは後編が始まるんですが。
ちなみに昨年の『ちはやふる』は前編が興収18億円ですので、比較するまでもなくこれは「爆死」です。
原作自体はまあ…意識高い漫画読みにはウケてるみたいですし、NHKでアニメ化もされてるんですが、一般層への広がりは無いかも。
見た人のレビューを読んでもかなり賛否ある内容で、口コミも良い方には作用しなさそう。そもそも原作ファンは羽海野チカのほんわか作風が好きなんであって、殺伐とした世界観は望んでないようで。
ま、いろいろな戦略ミスがあったうえでの現在の興収なんですが、問題は…これ後編の公開を控えてるんですよ。後編は前編を超えないというのに。後編5億もいかないのが濃厚。
昨年の『ちはやふる』にしたって、後編公開時に東宝がうっかり「来年、完結編を作る」とかアナウンスしちゃう大ポカをやらかして(つまり後編では完結しないと明言してしまった)、後編興収が12億に止まり、その完結編も宙に浮いて立ち消えになったままなんですがね。やれやれ。
『3月のライオン』後編は、『コナン』『クレしん』がランキングを賑わす時期に、ディズニーの実写版『美女と野獣』と同じ日に封切られます。もし前編と同規模の箱を用意するんであれば、シネコンにとっては壮大な罰ゲームとしか言いようがありません。
もう一つの『サクラダリセット』は規模はそれほど大きくないんですが、公開初日に…31週目の『君の名は。』よりも客が入らなかったという体たらくで、2週打ち切りするシネコンが続出してます。たぶん1億もいかない。
東宝じゃないから切り捨てやすいんだろうな。

この春の2作品が提示した前後編映画の問題点、「前編が失敗したら後編はただのお荷物」。
これは非常に重要だと思いますけどね。今までは運良く利益を出せていたけど、安易に前後編で映画を作ると失敗した時に傷口がデカい。
昨年もかの有名な漫画『イタズラなKiss』の実写版映画が最初から3部作で作られ、1作目が60館ほどで公開されたんですが、あまりの不入りで2作目は公開規模が20館ほどになり、3作目は…いまだに公開日程が決まってません。公式ツイッターが親切丁寧なのが不憫でね…。
アニメ『偽物語』の映画も無駄に3部作にした結果、8億→3億と興収だだ下がり。『偽物語』は『化物語』の余韻があるうちにさっさと公開すべきだったのに。
最初から前後編あるいは3部作という映画にはリスクがあるということが、一気に表面化してきた感があります。
東宝は懲りずに来年も前後編を企画してるんでしょうが、見る方に2倍金を出させる映画にちゃんとなっているのか、検証した方がいいんじゃないでしょうか。
2017/04/05 Wed. 03:56 | trackback: 0 | comment: 0edit

『キングコング~髑髏島の巨神~』見てきました 

このブログを辛抱強く読んでいただいてる方にはもうおなじみかと思いますが、ブログ主は現在猛威を振るうスギ花粉に苦しめられています。
無論鼻水止めは飲んでいるんですが、薬を飲むと鼻や口腔が乾燥して別の苦しさがあったりしまして、いずれにせよ体調はおもわしくないのであります。
実際、先週の休日は映画を見に行く予定を急遽取りやめて、部屋から出ずに寝てましたし。(『シング』か『ひるね姫』を見るつもりだったんだけど…。)
さて、29日の休みは体調もほどほどだったので、いよいよ封切られた期待の映画『キングコング~髑髏島の巨神~』と、30回目の『君の名は。』を見に行きました。


『キングコング~髑髏島の巨神~』日本版予告編 by YouTube


この予告編、どう考えても「見なきゃいけない感」に溢れてますよね。怪獣映画好きの血が騒ぎます。ナレーション立木文彦の煽りもたまりません。
しかも、東宝が捨ててしまった「怪獣プロレス」ですよ。必然的にB級扱いにはなるだろうけど、最近はハリウッドの方がこの方面に理解あるしね。
キングコング映画には今まであまり縁が無い人生だったんですけど、楽しい映画に洋の東西は関係ないのです。

シネコンは春休みでレディースデーのため、若い女の子達(ほぼ女子高生)でごった返していました。券売機にも女の子達が長蛇の列。
「すげえな、これみんなキングコングの客かしら」と一瞬思ったものの、あと30分で始まるキングコングの座席は…それほどでもない。なんだよ、『ひるなかの流星』とか『PとJK』の客か。
チケット確保して、パンフを買うも…変形サイズのせいかスタッフさんが「すいませんが…」と恐縮しながら、"崖の上のポニョ"のロゴ入りビニール袋に入れてくれて…困惑。ポニョってもう10年くらい前の映画だよな…。このシネコン出来てからまだ1年経ってないんだが、東宝直営でもないのになんでこんな袋があるんだろう?
とりあえずパンフはトートバックにしまい込んで、ひたすら女子高生を眺めながら時間を潰し、さて行きますか、『キングコング~髑髏島の巨神~』(2D字幕版)を見に。


(ここからはネタバレのジャングル)

アバンタイトルは太平洋戦争、とある島に墜ちたゼロ戦とムスタングのパイロットが、島の中で殺し合う場面から始まります。
一進一退の攻防の末、日本軍パイロットが軍刀で優位に立ち、ムスタングのパイロットを仕留め…ようとした時、キングコングが現れて二人が凝固したとこでタイトルバック。(どう見てもキングコングに怒られたようにしか見えない構図w)
オープニングで主なスタッフを表示する間、バックには終戦から冷戦という政治情勢がダイジェストで流され、オープニングが終わって表示される西暦は1973年。そう、この映画は1973年が舞台。
ベトナム戦争終結のゴタゴタの中、特務研究期間モナークを仕切る男ランダは、悲願である太平洋の人跡未踏の島"スカルアイランド(髑髏島)"の調査を政治家に認めさせることに成功する。
ベトナムから引き上げる陸軍攻撃ヘリ部隊のパッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)麾下が輸送と護衛を行い、ベトナムで米軍相手の仕事をしていた元SASのコンラッド(トム・ヒドルストン)がガイド役を請け負った。
髑髏島の周囲は常に嵐で、今まで誰も近づけなかったのだが、先年打ち上げられたランドサット(地球観測衛星)からは精密な写真が送られてきていた。秘境の全貌は把握している。
ヘリ部隊は嵐に翻弄されながらもこれを突破、ついに髑髏島を視界に収める。研究チームを下ろし、反響で地質を調査するべく広範囲に爆弾を落としていく。(完全な『地獄の黙示録』オマージュ)
敵のいない島に爆弾を落とす楽な任務。ロックを流しつつのんびりと飛んでいたヘリの一機に、突如大木がぶつけられ撃墜される。
ヘリ部隊の目の前にいたのは、怒りを露わにする巨大なキングコングだった…。

この、1973年という時代設定が絶妙だと思うんですよ。謎が謎でいられた最後の時代というか、夢があった時代ですよね。
そして、アバンタイトルに出てきた太平洋戦争時のパイロットが、まだ生きていられた時代。横井さんや小野田さんが隠れていた時代。
そしてもちろん、ベトナム戦争ですね。いろんな要素の集結点としての1973年です。

ヘリ部隊はキングコングに全て叩き落とされ、生き残った者も墜ちた場所で大きく二つのグループ(研究者チーム、大佐チーム)に別れ、お互いの連絡も取れなくなる。
3日後、島の北端に輸送船が来る手筈なのが唯一の希望だが、墜ちた場所は南側。北端へたどり着かねばならない。
しかしこの髑髏島、キングコングだけでなく、危険極まりない生物だらけ。人間側は一人また一人と犠牲になっていく。
研究者チームは原住民と遭遇し、そこで保護されていたムスタングのパイロットから詳しい情報を得る。キングコングはこの島の王であり、原住民にとっては神であると。
しかし一方のパッカード大佐は、部下をキングコングに殺された怒りで冷静さを欠き、復讐を誓っていた…。

ムスタングのパイロットであったマーロウは、28年ぶりの英会話に興奮してるのかやたら明るい。
ゼロ戦のパイロットであったグンペイ・イカリ(字幕ではガンペイ)は亡くなっていたが、二人で協力して何度も島からの脱出を試みたそう。形見の軍刀、グンペイの奥さんの写真など大事にしていた。
後半、マーロウが軍刀を構え、「HUMEIYO YORI SI WO」(不名誉より死を)とカタコトの日本語で言うシーンは熱い。字幕版推奨。
原住民の方々は言葉を発せず全く笑わないのだが、マーロウとはそれなりに上手く付き合えていたよう。常に危険生物に備え、キングコングの庇護の元で生きている。
日本の怪獣映画みたいに踊りとか踊ってはくれないけど、なかなか味のある方々でした。

2つのチームは合流を果たすも、北端へ急ぎたい研究者チームとキングコングに復讐したい大佐が対立。
髑髏島で最も恐ろしいスカルクローラー(獰猛なトカゲ型モンスター)に襲われ犠牲者を増やすも、墜落ヘリに残っていたナパームを入手した大佐は、キングコングを焼き払う作戦をたてる…。

スカルクローラーはマジで怖い。監督が「スカルクローラーの顔は、『千と千尋の神隠し』のカオナシ、『新世紀エヴァンゲリオン』の使徒サキエルなんかを参考にした」と言ってますが、無機質な顔で貪欲に襲ってくるのはやめてほしい。
小型ならキングコングでも倒せるが、大型のやつはキングコングでも喰われるというのも恐ろしい設定。
大型スカルクローラーとキングコングの最終決戦は、まさに手に汗握る激戦であります。

てな感じでストーリーを書きましたが、見所はもちろんキングコングと愉快な人喰い生物達です。
近年のゴジラ映画が捨ててしまった、超肉弾戦、理想的怪獣プロレスがハリウッドレベルで繰り広げられます。見なきゃ損です。
とにかくキングコングの存在感最高。出し惜しみせず終始活躍します。モーションキャプチャーで動きを作っているので、実にいいアクションをします。CGならではのスピード感も抜群。
数年後に実現する、キングコングとゴジラの対決が楽しみになってきました。

俳優陣も文句無いんだけど、おそらくこの映画を見た全ての人が「中国人のお姉ちゃんは何?」と思っているだろうとは思いますw。活躍もしないし死にもしない。
まあ大人の事情なんでしょう。それ以上は怖いから言わない。
エンドロール直前の最後のエピソード、こういう渋い締め方は日本の怪獣映画には無いねえ。ホロリとくる。
それと、エンドロールは長いと思っても絶対最後まで見ろ。ニヤッと出来るから。

監督が日本の怪獣映画をリスペクトしまくっているのがよく伝わってきましたし、怪獣プロレスが好きな人には御褒美過ぎる映画です。(グンペイ・イカリというネーミングは、任天堂の横井軍平さんとエヴァンゲリオンの碇シンジからだそう)
ぜひ、大画面で見てほしいですねえ。その価値は十二分にあります。3Dや4DXもいいらしいですよ。
吹替版でもいいと思いますが、字幕版が安全かと思いますw。
自分も時間が許せばもう一回見たいですねえ。キングコング男前です。
とりとめの無い文ですいませんが、見れる人は見れ!
2017/03/31 Fri. 12:44 | trackback: 0 | comment: 4edit

『モアナと伝説の海』見てきました 

映画館で見たディズニーアニメといえば、『美女と野獣』『アラジン』の2本です。
『美女と野獣』の時は、雑誌や映画紹介番組などから伝わってくる情報の端々に「これは見ておくべき映画だ」という波動が感じられたんですよね。そしてそれは正しい予感でした。あの二人きりの舞踏会のシーンは、現在の3DCGアニメに繋がる歴史的シーンだったと思います。
『アラジン』も同様、いやそれ以上の波動を感じまして、これも見て大正解。映画館で2回、しかも2回目は…若い女性と連れだって見たというね(満員立ち見でしたが)。若かったなあ。映画でデートしたのはあれが唯一。
2作品ともLDを買い、しばしば見直していたものです。サントラも買ったな。
その後は、特にディズニーアニメを映画館で見ることはありませんでした。出来がいいのは分かってるんですが、特にそそられるものが無かったというか。『ライオンキング』の手塚パクリの件がちと腹立たしかったのもあります。
かの『アナと雪の女王』の頃は、自分が映画から離れてた時期だったんで、あの喧騒も特に気にしてませんでした。まあディズニーなら面白かろうくらいなもんです。別に嫌いではありませんよ。

で、昨年から映画に復帰して、予告編でよく見ていたのが『モアナと伝説の海』。
これも「あ~、ディズニーがまた隙の無いキチンとしたアニメを作ったんだなあ」くらいにしか思ってなかったんですが、徐々に伝わってくる情報が…ちょっと興味を引くものだったんです。
「ディズニーにありがちなプリンセスストーリーではない」「モアナは戦闘力が高い」「モアナが男前」「海のマッドマックス」などなど、前評判がディズニーっぽくない。
それらを踏まえて、改めてこの予告編を見るとですね…


『モアナと伝説の海』日本版予告編 by YouTube

これはひょっとして傑作なんじゃないだろうか? 少なくとも見ておかねばならない波動は出まくっている。
何よりも主題歌が耳に残る、うっかり鼻歌で歌ってしまう。アカデミー主題歌賞にもノミネートされ、惜しくも『ラ・ラ・ランド』に敗れたものの、サントラ買って損は無いレベルの曲ですわ。
よし、とにもかくにも見なければ始まらない!

で、17日は休日。
残業と花粉症で体調がおもわしくなく、諦めようかというとこでしたが、二度寝で何とか動けるくらいまで回復。
『モアナ』と『君の名は。』(29回目)というハシゴだったんですが、今にして思えばハシゴ出来る体調ではなかったなあ。(翌日は職場でヨレヨレ、ミスもありましてね…)
とりあえず『モアナと伝説の海』を見るべく、パンフも買って、最大箱のスクリーン1に入ります。ええのう最大箱。

(ここからネタバレしまくります)

自然の恵み豊かな南洋の島、モトゥヌイ。人々はここで実りある共同生活を営んでいた。
村長(むらおさ)の娘であるモアナは、利発で明るく、将来の村長となるべき女の子で、海に限りない憧れを持っている。
村長であり父であるトゥイは、そんなモアナに危ういものを感じ、「海は危険だ。お前の幸せはここにある」と諭す。
だがモアナの祖母で、変わった言動で知られるタラは、モアナが海に愛されている事を知っており、モアナを海へ導こうとする。
ある日、自然豊かなモトゥヌイで作物が穫れなくなり、魚も網にかからなくなる。楽しかった日々に射す不穏な影。
モアナはサンゴ礁を越えて外海で漁をすることを提案するが、父に一蹴される。モアナ自身がカヌーを操ってサンゴ礁を越えるも、すぐに転覆して命からがら帰ってくる。
海へ出ることを諦めたモアナを、タラおばあちゃんが隠された秘密の洞窟に案内する。
そこにあったのは、たくさんの船とカヌー、そしてモアナの祖先達が海を航海していた記録絵。祖先達は偉大な航海士であり、外海からモトゥヌイへやってきたのだ。
しかしその航海は1000年前に突如中断していた。おばあちゃんが昔話してくれた伝説、女神テ・フィティの心が1000年前にマウイに盗まれ、それが引き金となって闇が世界を覆うというのは本当だったのだ。
やがておばあちゃんは倒れ、余命幾ばくも無い中、モアナに「お前の心に従うのだ」と最期の言葉を贈る。
モアナは食糧を持って洞窟へ走り、祖先達が遺したカヌーで夜の海へ漕ぎ出す。
そのカヌーの下を、輝くエイが道案内でもするかのように泳ぐところで、自分の涙腺崩壊(おばあちゃんは背中にエイのタトゥーを入れてる)。

とにかくね、おばあちゃんが強烈なんですよ。
村長の母でありながら変わった言動で微妙な存在なんだけど、伝説を真実だと知っており、モアナが海に選ばれた事も知っている。だからといって、モアナに強制するようなことは言わず、必要な時に助言していく。
ツイッターで「最高のババア映画」という評も見かけましたがw、まさにその通り。しかもクライマックス手前で、挫けそうになったモアナの前に、絶妙のタイミングと、最強の演出をもってババア現れるんだよ! 俺を泣かせてどうするw
しかも吹替版の声優が夏木マリなんですよ。『千と千尋の神隠し』の湯婆婆。この声でモアナを元気づけ、諭し、背中を押すんです。ディズニーめ、あざとい!

モアナが目指す、テ・フィティの心を盗んだ半神半人の英雄、マウイ。
身体はごつくて強そうだけど、妙にノリが軽くて、モアナの申し出をあっさり蹴ってトンズラしようとするんだけど、紆余曲折を経てモアナと協力関係になります。
『アラジン』で言うところのランプの精ジーニーに似た立ち位置ですが、それほど万能ではなく、姿を自由に変えられるという特殊能力はあるものの、あくまでも補助能力といった感じ。
彼の心境が徐々に変化していくのも、物語の重要なところですね。
海賊達との最初のバトル、カニの化け物との中ボスバトル、最終決戦前哨戦、最終決戦本戦と4つのバトルがありますが、モアナとマウイの協力関係は変化していきます。

あと、とにかくCGがスゴい! スゴいとしか言いようが無い!
昔は「CGは水の表現が苦手」とかしたり顔で言ってたもんですが、波、水しぶき、浅瀬、外海など、ここまで進化したのかと感嘆する映像。
さらには人、男性は上半身裸にタトゥーを入れてるんですが、服で誤魔化しようの無い動きと筋肉感が素晴らしい。
いろんな空の色、島の木々の緑、岩肌、溶岩など、違和感など存在しないレベルで、「ああ、日本はこの分野で勝負しちゃイカンな」と悟らせてくれます。
かけた金額は相当なものでしょうが、全世界で回収出来るディズニーだからこその映像でしょうね。
これをスクリーン1の巨大な画で見れたのは僥倖。

今回、字幕版は大都市圏でしかやっておらず、地方は全て吹替版です。字幕版見たかった…。
吹替版で主役のモアナを演じるのは、屋比久知奈(やびくともな)という22才のまっさらな新人さん。沖縄出身だそうですが、この娘さんが…いい意味でちょっと棒なんですよ。
拙い部分もあるけど一所懸命さが伝わってきて、モアナのキャラクターによく合ってる。オーディションを綿密にやったうえで、ディズニーがあえて選んだちょっと棒。
英語版もハワイ出身の16才の女の子が演じ歌ったそうで、この作品におけるディズニーの基本戦略なんでしょう。
夏木マリを筆頭に吹替版の面々も素晴らしいんだけど、字幕版も見たかったなあ…。市内3つのシネコン全て吹替版というのは残念。

オチは書きませんが、上手く締めてました。
『アナ雪』でのMayJの役回り(エンディングで主題歌熱唱)は、今回加藤ミリヤですが、MayJみたいに妙に叩かれることは無いでしょう。MayJは無名の一発屋だったからなあ…。
あ、エンディングテロップ後に小ネタが入りますので、気になる人は席を立たないように。作中にもディズニー作品からのカメオ出演があったようですが、それはディズニーマニアだけが気づけばいいことです。
あと、実は始まる前にショートアニメがあるんですけど、別に日本人を揶揄してるつもりは無いようですw。

ディズニーが好きな人もそうでない人も、作中で自ら「私はお姫さまじゃない!」と言い放つモアナの冒険譚を楽しんでみませんか?
あの『リトル・マーメイド』や『アラジン』を作った監督が、またワクワクさせてくれるのですから、見ておいて損は無いと思いますよ。
そんで、あの主題歌を頭の中でグルグル回しましょう。
2017/03/19 Sun. 02:37 | trackback: 0 | comment: 0edit

実写版『咲-Saki-』見てきました 

このブログで以前『咲-Saki-』の実写について不安を書きました。
いい漫画故に、原作レイプなんて言われようはしてほしくないですし、アニメ版はとても出来が良かったし。それを嫌な形で上書きされたくはない。学芸会は勘弁。
そんな不安を抱えたまま、昨年12月。まずTVドラマとして1話30分×4話で清澄高校エピソードが描かれ、番外編30分で県予選決勝で激突する龍門渕、風越女子、鶴賀学園のエピソードが補完されました。
……これがね、よかったんですよ。
いやまあ富山じゃ放送してないんで、YouTubeとか画像、実況ログに頼ったんですけどね。ウチWi-Fiとか無いから動画サービス無理なんで。
でも、そういう断片的な情報からもこの実写化が非常に頑張っているのが伝わってきてました。これはイケるんじゃないか? ファン専門だろうけど。
俄然、劇場版の公開が楽しみになってきたんですが、公式サイトで公開館をチェックすると……富山どころか……日本海側には福岡県しか公開館が無いorz。小規模なのは仕方ないけど…。
これは映画館で見るのは無理かな、と諦めておりました。

2月、富山市の三大シネコンのサイトで近日公開作品の動向を調べていたら、やるならここしか無いと思っていた【シアター大都会】で…3月11日から『咲-Saki-』が県内独占上映されることが判明!よっしゃ!
3月に入り、細部の流れを思い出すためブックオフで長野県予選決勝の結末まで立ち読みw、準備万端。
職場のシフトも偶然3月11日が休日となり、これは天の配剤と気合いが入ります。
そして当日、行って参りました。

シアター大都会はガルパン劇場版以来ですから約1年ぶり。片道徒歩100分ほどですが、ガルパンで何度も往復してますから苦ではありません(楽だとは言ってない)。
ガルパンで公開初日の土曜に行ったら…完売無駄足を喰らったトラウマがあるもので、午前11時20分の初回を念頭に、もし買えなかったら午後3時の回を押さえるという二段構え作戦をとります。シアター大都会は全席自由席で、流行りのネット予約なんか無い実力行使のシネコンなのだ。
朝8時30分に起き、9時前に出発しズンズン歩いて、10時40分に現地到着。今んとこ行列は…無い。果たしてチケットは…楽に買えましたw。ていうか一番乗りだったかも。(そう考えるとガルパンは異常過ぎたなあ)
パンフを確保し(お高め1500円)、待合いソファとか無いので立ったままツイッターで暇を潰し、開場と同時にスクリーン3へ。
今までシアター大都会で見たエヴァ序、エヴァ破、ガルパンは大きい箱だったんですが、今回初めて小さめの箱に入りました。
座席数は100くらいですが、奥行きが狭くて金持ちのホームシアターが豪華になった風情。前から2列目真ん中に陣取りましたが、スクリーンは視界に楽に収まるくらい。音響も特筆するものでもない。いい感じに寂れてる感じですね。
予告編が4本入り、カメラ男のキレの良いダンスを挟んで、いよいよ始まります。


(ここからネタバレわんさか入ります)

いきなり自転車で疾走するタコスから入って吹きましたw。TV版の引きがこのシーンだったんですよね。
中田譲治さんのナレーションも入り、オープニングで人物紹介しながら会場に各校集結。
ストーリーはほぼ原作準拠なんですが、原村和が仮眠してる間にエトペンが盗まれるエピソードが改変されたのは個人的にすごく嬉しかったですね。
あの爽やかな青春麻雀群像劇の中で、あのエピソードだけ…ちょっと嫌なものを感じて、原作でもアニメ版でも好きじゃなかったんですよ。(こういう性格だから『聲の形』が見れない)
盗まれるのではなく、一緒に仮眠していた宮永咲が抱いて熟睡していたので、そのまま置いて対局に挑もうとしたら、目覚めた咲がエトペンを和に届けるためやってくる。いいじゃないか!
まあ、エトペンの発見に天江衣が一役買って、ハギヨシが繕ってくれる流れが無くなりましたが、そこは仕方ないでしょう。おそらく時間の都合と、話を散漫にしないためだと思います。
では、順を追って決勝の感想を。

【先鋒戦】
清澄のタコスがエネルギー源のタコスを龍門渕の井上純に喰われてダッシュ出来ない間、その龍門渕の井上が畳み掛け、それを風越女子の福路さんが牽制しつつペースを握る展開。
タコスはTVの時から役作りの破壊力が散々言われてましたが、身体がデカいのも含めてよくやってくれてると思います。
井上純はボーイッシュというか、麗人要素と憎まれ言動が原作以上に加わって申し分ないキャスティング。
福路美穂子さんは常に片目を瞑っている外見が…実写だと妙にインパクトありますが、落ち着いた実力者っぷりがよく出ていました。結果的に先鋒で大成功。映画だけ見ると竹井久との因縁が分かりづらいけど。
鶴賀学園の津山睦月は面子的に目立たないが、美人。

【次鋒戦】
鶴賀学園の妹尾佳織の初心者タコ麻雀に、他3人が翻弄される展開。本来はここでエトペン盗難などが入ってくるんだけど改変されたんで、闘牌自体は地味。
清澄の染谷まこは、個人的に実写化最大の成功。顔がすっげえ好みです、原作ではワカメ扱いなのにw。清澄の5人では一番目立たないポジションでしたが。
鶴賀学園の妹尾佳織の役の子は水着仕事の多いグラビアアイドルですが、素人らしいたどたどしさを買われたのでしょう。
龍門渕の沢村智紀、風越女子の吉留未春はそれぞれいい眼鏡っぷりでしたが、見せ場は少ない。

【中堅戦】
清澄の部長竹井久が場を支配し、他校が圧される展開。
竹井久は清澄の中で一番…似てないんだけども、そもそも造形的なポイントが難しいキャラクターだからね。頼りがいさえ感じさせればいいと思うんで問題無し。ハネ上げツモは無難にカット割ってました。
龍門渕の国広一ちゃんは外見のインパクトはあるんだけど、原作からして闘牌ではさほど活躍してないからね。私服も着てないし、どっちかというと龍門渕透華の話し相手ポジション。可愛い。
風越女子の文堂星夏は糸目キャラクターだけあって細目の子をキャスティング…したのかと思いましたが、美人さんが細目を演じているそうで。悪くない。
鶴賀学園の蒲原智美(実は主将)はハマーン&ミンキーモモ型の髪型ではなく(あれは再現出来ない)、ちょっと工夫して雰囲気出してました。

【副将戦】
原村和を意識する龍門渕透華の仕掛け、ついに「のどっち」と化して場を支配したかに見えた原村和、しかしそこに「ステルスモモ」東横桃子が姿を現す。原作でも見所の多いところ。
清澄の原村和やってる子はかなり大きい脂肪の塊をお持ちなんですが、原作がアレなので少し気の毒。ツインテな髪型、覚醒のどっちなど頑張ってくれています。
龍門渕透華はかなりのハマり役。気位の高い喋りが嫌みじゃないのはスゴくいい。「おはよう、のどっち」も文句無し。
原作で自分が一番好きな鶴賀学園の東横桃子、TV版では徹底して姿を見せませんでしたが、現れ方は普通でした(光学迷彩みたいなCG処理するのかと思った)。顔も声もピッタリ。加治木さんの「私は君が欲しい!」もちゃんと出たしね。
原作では……ぽっちゃりキャラクターだった風越女子の深堀純代、演じてる子も体重増やして挑んだようですが、もう少しぽっちゃりしてほしかったかな。

【大将戦】
問答無用の展開。嶺上開花を連発する宮永咲、チャンカンでそれを止める加治木ゆみ、天江衣海底全開、追い込まれる池田、0点池田に差し込み加カンする宮永咲、池田復活も勝負は天江衣と宮永咲の叩き合いに…。二人の怪物と二人の強豪常人の名勝負。
宮永咲は独特の透明感がよく出ていて、いいキャスティングだと思います。主人公として申し分なし。原作に負けてない。
天江衣役を小学生にしたのは大正解。世の中くまなく探せば天江衣みたいな高校生もいるでしょうが、衣らしさが感じられればいい。喋り方のたどたどしさと、それでいて小難しい言い回しをするとこが実に衣。
風越女子の池田華菜は、顔が池田池田していて素晴らしい。似てるというより、笑って悲しんで調子乗って悔しがるキャラクター性がこっちに伝わってくるんですよ。伝説の名台詞「リーチせずにはいられないな」「そろそろまぜろよ」も言ってくれます。
鶴賀学園の加治木ゆみは、落ち着いたオーラで化け物相手に奮闘する様といい、最終局終了時に手牌を伏せるとこといい、いい芝居をしています。

とにかくね、漫画の実写化作品としては大成功の部類。というか、このレベルまで成功した実写化があったか?
完成度の高い原作を、ほとんどいじらずにただ再現することに徹しつつ、作品のテンポを失わないような改変を混ぜている。エトペンが盗まれないとか、京太郎の存在が消されているとか、一部の闘牌(咲の安アガリ3連とか)が省略されてるとか。
パンフレットに監督が、「原作が面白いのだからそのままやろう!」というコンセプトのもと、オーディションで200人以上の女の子に会って配役を決め、リハと麻雀練習を繰り返したと書いてあります。嬉しいことです。
結果、原作と同じ感動を得ることが出来る。これは難しいんですよ。
あと、作品の出来がいいこともあって、演じている10代20代の若い女の子達の、輝いている時間を閉じこめた映像となっている点も評価したい。これだけの数の若い子らが役になりきって熱演するというのはいいもんです。ここから大物になる子もいるかもしれない。
実際の若い女の子がやることで、原作よりも部活感が出ているのもいいなあ。3年生はこれで引退…。
願わくば続編やってほしいとこですけど、なんせ原作が足踏みしてますしねえ…。一応映画は咲が「お姉ちゃんの待つ全国へ!」という感じで終わるんですが、全国にしろ合宿にしろその他にしろ…現時点で実写化は出来ないでしょうねえ。

基本的には『咲-Saki-』を読んだ、アニメ見たという人向けの映画です。
でも全く知らない人が映画見ても、なんやかんやで楽しめると思うんです。それだけクオリティは高い。
『ガルパン劇場版』はガルパン未見でも存分に楽しめる名作ですが、『咲-Saki-』の実写映画もそれに近いですね。
ただ…いかんせん公開館が少ないので、なかなか見られないかもしれませんが、機会があれば是非御覧頂きたい。レンタルや配信に出たらそれでもいいので。
自分も…あと1回見とこうか思案中。遠いんでねえw。『モアナ』も見たいし。

ともかく『咲-Saki-』はやはり名作だと実感出来る実写版です。毛嫌いせず是非。
2017/03/12 Sun. 21:33 | trackback: 0 | comment: 4edit

『ラ・ラ・ランド』見てきました 

日本人は、果たしてミュージカル映画が好きなのか?嫌いなのか? これ、結構意見割れると思うんですよね。
年輩で映画が好きな人は、『サウンドオブミュージック』や『マイフェアレディ』、『チキチキバンバン』『雨に唄えば』『オズの魔法使』『バンドワゴン』『ウェストサイド物語』など、名作と言われるミュージカル映画には接してきたはずです。この辺の洗礼を受けた映画好きは、ミュージカル映画にそう抵抗は無いでしょう。
比較的若い世代でも、ディズニーの『美女と野獣』『アラジン』『ライオンキング』などに脳を焼かれた方はたくさんいるでしょうし、『シカゴ』や『ムーランルージュ』『レ・ミゼラブル』などハリウッドのミュージカル映画は定期的に供給されています。
それだけに…頑なにミュージカル映画が嫌いという人もいるでしょう。タモリは昔から公言してますが、「なんで歌に乗せて台詞言うの?」というツッコミをして貶すタイプですね。
まあ生理的な問題というか、映画を見る時に理詰めになりがちな人には不向きなのかもしれません。

自分は、ミュージカル映画好きですね。音楽が好きだからというのが大きいかもしれませんが、台詞を歌われても特に不思議には思いません。
『美女と野獣』『アラジン』や、マドンナ主演の『エビータ』は映画館で見て、全てLDも買いました。
まあ…『君の名は。』みたいに歌の歌詞が心情描写に大きく影響するような映画、『ブルースブラザーズ』みたいにゴキゲンなナンバーをサラッと入れてくる映画、80年代洋画みたいに売れ線挿入歌入れまくりの映画、『ムトゥ踊るマハラジャ』みたいに数曲踊り歌うマサラムービーも大好きですよ。なにせすぐにサントラ買っちゃう子ですから。
強いていえば、邦画のミュージカル映画は乗りにくいですかね。
邦画ミュージカル映画の名作といえば『鴛鴦歌合戦』『ニッポン無責任時代』がありますが、作る方も気恥ずかしいのか本数があまり無いし、ノウハウも無い。近年だと『嫌われ松子の一生』と『舞妓はレディー』(タイトル自体が『マイフェアレディ』のモジリ)くらいですか。
確か実写版『めぞん一刻』は、ミュージカル映画仕立てだと当時のスピリッツで読んだ記憶がありますが、そんな恐ろしいものは見たくありません、はい。
姉の影響で、宝塚歌劇に抵抗無いのも大きいかもしれません。

そんな自分が、久しぶりにミュージカル映画を映画館で見てきました。『ラ・ラ・ランド』、今話題の映画です。
アメリカで割と小規模の公開からスタートしたこの映画が、口コミによる絶賛で徐々に上映館を増やし、ランキングも演歌的な上がり方粘り方で話題をさらい、ついにはアカデミー賞13部門ノミネート、そして監督賞や主演女優賞など6部門を制覇。作品賞では運営のとんでもないミスでゴタゴタしましたがw、公開が始まったばかりの日本では逆にいい宣伝になった形。
新時代のミュージカル映画との呼び声も高い作品、見ないわけにはいきません。
ちょうど火曜日メンズデー1100円でもあったので、まずは『君の名は。』(27回目)を鑑賞。10日ぶりということもあって、気持ち良く泣けました。
待ち時間は、ロビーで小一時間ほどくだらないツイートをしまくり、ドリンク剤を飲み、パンフも買って、いざ『ラ・ラ・ランド』へ!


(ここからネタバレ入ります)

映画が始まってすぐ、大渋滞で止まっている高速道路で始まるオープニングは圧巻。スゴいという評判は聞いてましたが、噂に違わぬ先制パンチ。
停車中の車から次々と人が飛び出してきて歌い踊るんですが、それらのパフォーマンスをステディカムぶん回しの長回しで一発撮りしてるのが強烈。こういう映像は邦画じゃ絶対見れんのよ。さすがはアカデミー撮影賞、夢の世界への誘いです。
この渋滞の中に、ピアノ曲のイメトレをする男と、台詞を覚えようとしている女がいまして、この二人がこの映画の主役。
女の方はミア(エマ・ストーン)、役者志望でコーヒーショップのバリスタをやりながらオーディションを受けているが、どこにも引っかからない。
ある夜、レストランで演奏されるピアノが気になり、ピアニストの男に声をかけようとするが無視される。
この男がセブ(ライアン・ゴズリング)、偏屈なこだわりのある彼はレストランのオーナーの指示に従わず弾きたい曲を弾いたため、たった今クビになったのだ。
(余談ですが、レストランのオーナーを演じているのがJ・K・シモンズでして、先日『ザ・コンサルタント』を2回見た自分は吹いてしまいましたw。どう見ても財務省監査局長だよ)
この時は会話も無かった二人ですが、再度出会った時からお互い次第に惹かれていきます。二人の心が接近していく様を、手を替え品を替えミュージカルとして見せていきますので、あらすじ的には大したことは起きませんw。
セブは自分の店を持って、好きなだけジャズを演奏したい。しかしその理想を実現するための金が無い。ミアとの結婚も視野に、セブは夢を封印して友人のバンドに参加する。
しかしミアは、やりたいジャズを封印しているセブに疑問を抱く。それでいいのか。
二人は心も時間もすれ違っていくようになり、ミアが全てを賭けた一人芝居の舞台も失敗。ミアは泣きながら故郷へ帰る。
そのミア宛に配役事務所から連絡があり、セブが伝言を頼まれる。セブはミアの故郷へ向かい…。

ってな粗筋ですね。だいぶ端折ってますが、見所はいろいろあって飽きません。
ミュージカルシーンにも物語の部分にも、いろんな映画へのオマージュが散りばめられています。『シェルブールの雨傘』『バンドワゴン』『理由なき反抗』『ニューヨーク・ニューヨーク』…etc.
そう、この映画は一般の人が見ても充分楽しいのですが、映画好きが見るとニヤニヤ出来るようになっているのです。自分程度が見てもピンと来る箇所はありましたから、ディープな映画マニアはいろいろ引っかかるでしょうね。
そしてこの映画の舞台は『LA LA LAND』、つまりロサンゼルス、ハリウッドです。
邦画にも『蒲田行進曲』と『キネマの天地』という作品がありますが、こういう題材は映画好きが過敏に反応するんですよ。一種の楽屋オチというか。
映画好きをニヤニヤさせつつ、新しい試みを盛り込んで新時代のミュージカル映画を完成させた。音楽もいい。
実に見応えのある作品だと思います。

ライアン・ゴズリングもいい男だけど、エマ・ストーンの「目」はいいよねえ。そそられました。
自分が贔屓する洋画の女優さんって、シガニー・ウィーバーとかドリュー・バリモアとか、ジェニファー・コネリーとか、あまり正統派はいないんですけど、エマ・ストーンはいいわあ。
主演の二人の踊りや演奏も素晴らしい。しっかり役を作り込んできたんだというのが分かります。
こういう贅沢な部分を楽しめるのも洋画の醍醐味ですねえ。

オチは………あえて書きませんが、『君の名は。』とは正反対だとだけ言っておきましょう(モロバレ)。
直前に見たせいもありますが、心地よい余韻が『君の名は。』のメガヒットの要因なんだろうなあ…と再確認しました。
終わる直前に数分流れる"幻の映像"は、アニメ作品にはよくある手法ですが、まさかハリウッドでかましてくるとは…。
別にバッドエンドではなく、まあ…ちとほろ苦いという類のもので映画にはありがちなんですけどね。思いこんで見ると肩すかし喰らうかも。
そのオチも含めて、いい映画だと自分は思います。

ばっちり予算をかけて、役柄と演技を作り込んできた役者で、豪華な画面と音楽、過去の映画へのオマージュを盛り込んだ、王道で新しいミュージカル映画。
アカデミー賞14部門ノミネートで、監督、主演女優、主題歌、作曲、美術、撮影の6部門を制覇(なんてミュージカル映画な受賞だろう)。
作品賞のゴタゴタも、話題性で興行的には追い風。まあ…一旦作品賞を受賞した時に、配給してるGAGA(ギャガ)の広報のツイートが「社内で胴上げが始まりました!」と喜びまくっていたのは気の毒でしたがw。
夢の世界、大人の寓話、浸れる2時間余。そういうのが好きな人は是非見ておくべきだと思います。
ようこそ!ラ・ラ・ランドへ!
2017/03/02 Thu. 08:48 | trackback: 0 | comment: 0edit

ちばあきお先生の『プレイボール』に続編が… 

故ちばあきお氏の名作野球漫画「キャプテン」の続編が、集英社の漫画誌「グランドジャンプ」4月5日発売号から連載される。
題名は未定。38年ぶりの再開となる。

作画、物語ともコージィ城倉氏(53)が担当。
大の「キャプテン」ファンで、オマージュ作とされる「おれはキャプテン」などの野球漫画で知られる。プロ野球選手の年俸に焦点を当てた異色の野球漫画「グラゼニ」の原作者(森高夕次名義)としても有名。
続編の計画が進む中で「誰かが描くことになるのなら、自分が描きたい」と引き受けた。

続編は、本編で墨谷二中のキャプテンを最初に務めた谷口が墨谷高3年となり、後を追って入学した後輩の丸井、イガラシらと甲子園を目指す。

「キャプテン」は1972~79、当時の別冊少年ジャンプ(後に月刊少年ジャンプ)で連載。歴代キャプテンを中心に野球部の奮闘を描いた。
“魔球”全盛期の当時、読者と等身大の登場人物がひたむきに野球に打ち込む姿が人気を呼び、アニメ化もされた。

73年からは墨谷高に進学した谷口を描く「プレイボール」も週刊少年ジャンプで連載。
78年、谷口が3年生に進級してすぐに終了した。今回の続編は、その先を描く。

コージィ氏は「ファンは新解釈を望んでいない。あきお氏ならどう描くか考えて描く。今風の味付けはしない」としている。
あきお氏の画風そっくりに描くが「簡単にみえて非常に難しい線。レイアウトのバランスも素晴らしい」と驚いている。
展開については「甲子園に行くのが“王道”だが、あきお氏ならどうするか…」と悩んでいる。

あきお氏は84年、41歳で自ら命を絶った。
兄ちばてつや氏やアシスタントらによる再開も検討されたが、実現に至らなかった。
あきお氏の長男で、ちばあきおプロダクション代表取締役の一郎氏(41)は「終了から約40年。父の作品が、世の中から忘れられていくのは寂しい。続編が、今の人の目にとまる機会となれば父も喜ぶ」と話している。

(さらに別記事を転載)

昭和の大ヒット野球漫画「キャプテン」が『グランドジャンプ』(集英社)4月5日発売号から38年ぶりに連載を再開することが発表された。
作者の故・ちばあきお氏の長男・千葉一郎氏(41)が週刊文春の取材に応じ、復活のウラ側を語った。

「父が亡くなって30年以上たち、父の漫画が風化しないよう、出来る事はないかと考えました。そこで、昨年夏に父の友人だった漫画家の本宮ひろ志先生に相談したのです。すると集英社の編集者をご紹介いただきました。最初は連載再開なんて大それたことは考えておらず、『一話読み切りで』と思っていました」

担当することになった編集者は「面白そうだ」と思ったが、最大の問題は誰に描いてもらうかということだった。
悩んだ末に依頼したのは、野球漫画「グラゼニ」(講談社)の原作者でもある、漫画家のコージィ城倉氏(53)だった。

城倉氏が言う。
「思い入れがある作品ですし、唐突なお話だったので、正直迷いました。ただ、非常にシンプルにもかかわらず、何とも言えない様式美がある作品の“根っこ”にあるものを再現するなら僕しかいないという自負はありました。それで、読み切りではなく連載ということで引き受けたのです」

(転載ここまで)


このブログでも何度か触れてますが、生まれて初めて"自分で意識して"買ってもらったコミックスは『キャプテン』の10巻です。
何度も何度も読み返し、やがて『キャプテン』の他の巻も読み、月刊少年ジャンプの連載も読み、日生ファミリースペシャルで2時間アニメになり、それが評判をよんで再度スペシャル&劇場公開、自分が中学生の頃にTVアニメ化…。
おっさんになった今でも、『キャプテン』は自分の人生の漫画ベストテンに常に入っている作品です。自分が野球を見る時の基本が詰まっていると言っていい。
それだけに、ちばあきお先生が自ら命を絶ったニュースは悲しくて仕方ありませんでした…。

「高校時代に好きだった陸上部の○島○○子さんはもうとっくに御結婚されてるんだけど(同窓会名簿で苗字が変わってた)、今度会う機会があるのでかなり心が動揺している」
…自分の現在の心境を表すと、こんな感じでしょうかねえ。○島さんと今会っても仕方ないんですが、会えるもんなら会ってみたい。でも会わない方が記憶の中の○島さんを上書きしないで済む…。そんな感じ。
この続編報道はホントにいろいろと悩ましいのです。
とにかく、まずツッコんでおかねばならないのは………これ『キャプテン』ではなく『プレイボール』の続編ですよね。記事を書いている奴は近藤…いや混同してます。
『キャプテン』は墨谷二中を舞台に、谷口→丸井→イガラシ→近藤という4人のキャプテンの有り様を描いていく定点観察的な漫画。最後は近藤キャプテン率いる新チームが、春の選抜で大健闘のベスト8までいって敗れるものの、墨谷二中の前途は明るいことを示唆しつつ終わりました。
『プレイボール』は人気キャラクターの谷口クンが墨谷高校に進学し、指の怪我で断念していた野球に再度取り組み、それに引っ張られて弱小だった墨谷高校が少しずつ強くなっていく様をじっくり描いた漫画。いわゆるスピンオフです。
丸井は墨谷高校への進学に失敗したものの、谷口さんへの恋慕を募らせ、編入試験まで受けて強引にやってくるし、翌年はイガラシも入学してくる。墨谷二中を苦しめたライバルも墨谷高校に進学してくる。さあ…谷口キャプテン3年最後の夏へ……というところで中断的に終わりました。
上記の記事を読む限り、今回描かれるのは『プレイボール』の続編となります。
(どっちかというと『キャプテン』の続編を描いてほしかったなあ)
ちばあきお先生、41才で逝かれたのか…。

あまり知られてないかもしれませんが、『プレイボール』は2005~2006年に2期26話でアニメ化されてます。まあ、正直なところ…不満の残るアニメでしたけどね。
超名曲「君は何かができる」を流用するのはいいものの、どこぞの若造グループが軽い声とアレンジで歌いやがるし。無論アニメ化出来たのは途中まで。
高校生の谷口と、中学生の丸井イガラシがちょくちょくつるんでいるのも違和感あったなあ。いつも鯛焼き屋で、そこの親父の声が元近鉄の梨田昌孝(こんにゃく打法)というのも…。
おっさん向けファンサービスで、谷口1年時の墨谷高と、丸井キャプテン時の墨谷二中の練習試合をやったのは評価してるけどね。原作で一度も交わらなかった谷口と近藤の邂逅はニヤニヤさせてもらいました。

『キャプテン』も『プレイボール』も未完故に想像の翼が広がる面がありまして、それを支えるキャラクター設定の妙に感心させられます。
谷口は素人に毛の生えたような実力だったのに、責任感と猛練習で一流選手になっていくのだが、鈍感なので細かい事は参謀役がいないと成り立たない。新聞部の取材に「頑張る」しか言えない。
丸井は頑固で短気で、おまけに谷口を崇拝し過ぎていて融通が利かない。およそ上に立つ人間じゃないんだけど、周囲がそれを支える。案外繊細で面倒見は良い。高校進学後も後輩を叱咤激励しに来る。
イガラシは才能と努力を兼ね備えているクールな天才肌だが、下の者の気持ちには無頓着。目的の為に全てを集約しようとして、容赦なくふるいにかける。春の選抜辞退の要因。
近藤は小学生の頃から豪腕とちやほやされたので、自己中で我慢が利かない。それを丸井が蹴ったり、イガラシが辛抱強く諭してきたことで若干成長する。イガラシを反面教師にして部員を切り捨てない。
その他、主だった部員、対戦校の面々にも細かい味付けがしてあり、試合中にふとそういう面が顔をのぞかせるのがいいんですよね。
あと、独特の言葉遣いと言い回し。曽根が北戸中のエースからヒットを打った時の「鉄のタマじゃあるめえし」とか最高ですよ。
こういう、ちばあきお先生でないと出せない魅力の部分を、果たしてコージィ城倉は書けるんでしょうか。

人選としては、コージィ城倉は正解でしょう。
水島新司御大はその昔、『キャプテン』のような漫画は描けないから岩鬼や殿馬を出したと公言してましたし、あだち充先生だと…女の子が出てくるわなあw。「ムフ」
ただ、コージィ城倉は他にも仕事を抱えてるし、『砂漠の野球部』『オレはキャプテン』で高校野球ネタはかなり使っただろうし、ちばあきお先生の雰囲気を持つ筋書きを書けるのか…が不安。
まあ、誰が描いたって不安なんだけどね。
しかし…本宮ひろ志がお友達だったのかあ。そりゃあグランドジャンプの編集が飛んでくるよなあ。平松伸二先生の自伝漫画でも、平松伸二先生とゆでたまご先生の対談でも、本宮ひろ志先生は恐かったと言ってたしなあ…。

グランドジャンプは愛読してますし、この『プレイボール』続編ももちろん読みますけれど、期待していいのか斜に構えた方がいいのか、正直困っています。
師父ことブルース・リーの映画『死亡遊戯』は、クライマックスの十数分間に出てくる本物のブルース・リーを見せるために、そっくりさんとチープな合成を駆使してでっち上げた愛すべきバカ映画です。
さて、この『プレイボール』続編は…愛すべき漫画になるでしょうか。
今んとこ不安の方がデカいですねえ…。好きだった女の子はどうなっているのでしょうか。
2017/02/26 Sun. 05:32 | trackback: 0 | comment: 2edit

青森だけの『この世界の片隅に』 

寒い日が続いてますが、いかがお過ごしでしょうか。
自分は相変わらず仕事が忙しく、ブログの更新も見ての通り滞っています。ツイッターではつまらんつぶやきを書いてますが、あれは推敲の労力も無くて楽なんで。
しばらく前、人手不足の職場に待望の新規雇用があったんですが、その30代後半の男性は…鬱病で前の会社を辞めたということで、こちらも「とにかく厳しく接してはならない」と気を遣いまくってました。オタク趣味なのは分かってましたが、その辺には一切立ち入らないようにしてましたし。
が…一週間ほどで鬱病が再発したとかで来なくなり、申し訳ないが辞める旨のお電話が…"お母様"からありました。ウチの職場的な問題ではなかったようですが。
まあこっちとしては…病気だから仕方がないと思う反面、人手不足解消のアテにはしていたのでね。イラっとは来ますよ。30代後半の男が"お母様"に電話させるというのも腹立たしいですしね。
てなこともあって人手不足は解消せず、自分も残業やら時間外やらが増えまくり、休日は『君の名は。』(現在26回鑑賞)を見てとにかく嫌なことを忘れるようにしています。
先日はついに「一人カラオケ」にまで行ったんですが、それは別に書くつもり。書けてないけどね。
とりあえず、今はしんどいのであります。

さて、『君の名は。』ではなく『この世界の片隅に』の方で、ちょっと変わった話題がありましたので触れたいな、と。


(ここから転載)

ヒット中のアニメ映画「この世界の片隅に」(片渕須直監督)を上映している青森市の映画館で、配給元の手違いのため、約1ヶ月半にわたって最終完成前のバージョンが上映されていたことがわかった。
完成版との違いは背景の一部や色合いの違いなど。別の映画館などで9回鑑賞したファンが気付いたという。

最終完成前のバージョンは、青森市古川1丁目の映画館「シネマディクト」で、昨年12月30日から今年2月14日まで上映されていた。
配給元の東京テアトルによると、ストーリーはほとんど変わらないが、完成版の背景に描かれている鳥や花の絵がなかったり、エンドロールに流れる絵の数が異なっていたりした。

昨年12月17日の上映開始後、音声の不具合があったためスペアに交換したつもりだったが、それが最終完成前のバージョンだった。
9回鑑賞したというファンが別の映画館との違いを見つけ、ツイッター上で片渕監督に「違うバージョンもあるのはなぜですか」と質問して発覚。
最終完成前バージョンが配られたのは全国で同館だけという。

東京テアトルは17日に公式ホームページ上で事情を説明し、「今後二度とないよう細心の注意をはらってまいります」と陳謝した。
同映画館で最終完成前バージョンを鑑賞した人は、上映終了の3月17日までに同館の窓口で申し出れば、無料で鑑賞できる。
半券があれば、3月末まで配給元が返金に応じるという。返金の問い合わせは東京テアトル(03・3355・1013)へ。

(転載ここまで)


同じ映画を9回も見るなんて、どうかしています(視線合わせない)。
それはさておき、これは珍しいトラブルですよね。
フィルム…ではなく、現在はデジタルデータなんでしょうけど、メインにトラブルが出たのでスペアに交換。スペアもちゃんと映画館に用意されているんですね。
ところがそのスペアが、本来世に出ることの無い完成前バージョンだった。色が塗ってないとこがあるみたいな、明らかに作りかけであればすぐ分かったんでしょうけど、おそらく最終調整をするためのバージョンで、映画としては成立していたんでしょう。
だからその映画館で見た人も不審に思わなかったし、1ヶ月半も上映が続いていたんですけど、9回見ているヘビーリピーター(中毒患者)は見逃さなかった。
見つけたリピーターのお手柄ですが、リピーターがいなかったらトラブル発覚もしなかった。複雑です。

公開中の映画が、場所によってバージョンが違うという事例が過去にあったのは知ってます。『宇宙戦艦ヤマト完結編』ですね。
同作はとにかくいろいろあって製作が押しまくり、公開日が迫っても作り続けている状況で、それなのにフィルム時代なので全国一斉公開の為にはフィルムがその日に届いてなくてはいけない。
そういう状況下で、子細は忘れましたが地方によっては数日間だけ完成前バージョンが流れたという話がヤマトのムック本に載ってました。
今ほどネットが発達した時代なら大騒ぎだったでしょうが、当時は一部のファンに違和感を残した程度で終わったようです。「あれ、俺の記憶と違うなあ…」みたいな。
アニメ映画は、そういう修羅場な理由で完成前バージョンが流れることは他にもありそうですね。24時間TVの手塚アニメじゃありませんが。
ただ今回の一件は、製作ではなく……空前のヒットでテアトルの営業や事務方が修羅場だったんじゃないでしょうかw。テアトルの映画がここまで全国拡大上映されるなんて空前絶後のことですし。
青森の映画館に渡すデータのメインの方はちゃんとしてたんでしょうが、スペアのチェックが甘かった。そしてそのスペアに出番が来ちゃった。それでも1ヶ月半バレなかったのに、中毒者が…。
まあ、若干気の毒ではありますが、仕事は仕事ですからね。ミスはイカンです。
フィルム時代には無かったトラブルでしょうね。

片隅族のツイッター上の反応は、「俺もそのバージョン見たい!」一色でしたよw。まあプレミア感ありますよね。全国でその青森の映画館だけで流れたんですから。
自分は2回見た程度のライト層なので、その程度の差異なら気にしませんが、片隅族の為にどこかの映画館であえてそのバージョンを流したら、結構入るんじゃないかなあ。ロビーで楠公飯売って。

『君の名は。』も『この世界の片隅に』も依然として週末ランキング連続トップテン継続中ですが(君26週、片隅15週)、今週末は期待の『ラ・ラ・ランド』を始めとして新作5本あるため、どちらもトップテンから落ちるのが濃厚という予想です。
いよいよとなったら、このバージョン違いを大々的にかけるというのも手かもしれません。そんな商売イヤだけどw。
2017/02/21 Tue. 03:47 | trackback: 0 | comment: 2edit